◎保健当局によると、香港の11月1日の新規陽性者数は1件、直近1週間の陽性者は1日あたり3件、死亡者は約2カ月確認されていない。
2021年11月1日/香港の中心街(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

香港政府は先週、コロナウイルスの陽性者ゼロを達成するために制限を強化した。

専門家たちは制限の強化に深刻な懸念を表明し、世界の金融ハブである香港の地位を脅かす可能性があると警告した。

保健当局によると、香港の11月1日の新規陽性者数は1件、直近1週間の陽性者は1日あたり3件、死亡者は約2カ月確認されていない。

しかし、林鄭 月娥(キャリー・ラム)行政長官は先週、海外および本土の旅行者に対する入国時の検疫免除を終了すると発表した。

中国共産党に忠誠を誓う林鄭 月娥 行政長官は2日の記者会見で、「制限の強化は中国本土の封鎖解除に向けた取り組みを加速させるだろう」と述べたが、主要な民間企業は制限の強化に失望を表明した。

香港の入国制限は極めて厳しく、入国を希望する人はワクチン接種の有無にかかわらず、14日~21日の強制隔離が必要。当局は外交官や主要なビジネスリーダーに対する免除も合わせて停止した。

林鄭 月娥 行政長官は声明の中で、「中国本土との検疫なし往来を再開するためには、本土と同じ対策を取る必要があるため、香港はある種のジレンマに陥っている」と語った。

共産党は来年2月に開幕する北京2022冬季五輪までにゼロコロナを達成したいと望んでおり、厳格な封鎖戦略を維持している。

在香港米国商工会議所のタラ・ジョセフ会長はロイター通信の取材に対し、「検疫の強化は様々な分野に大きな影響を与えるだろう」と述べ、国際金融ハブとしての香港の魅力は著しく低下すると警告した。

欧州商工会議所のフレデリク・ゴロブ会長も、「国際的なビジネスの観点で見ると、今回の決定は香港の信頼を低下させるだろう」と述べた。

ゴールドマン・サックスやブラックロックなどの国際的な金融機関を代表するアジア証券業金融市場協会(ASIFMA)は今週、厳しい国境管理は香港の金融市場だけでなく経済や雇用を含むあらゆるものに深刻な影響を与えると警告した。

ASIFMAは先週、香港のポール・チャン財政長官に宛てた書簡の中で、「現在のゼロコロナ戦略を維持すれば、香港の国際的な地位は失われる可能性がある」と述べていた。

世界をリードする先進国はゼロコロナ戦略から概ね撤退している。

香港のライバルである金融都市シンガポールは先月、米国を含む11カ国に対する制限を緩和し、ワクチン接種者の検疫なし入国を許可した。

オーストラリアはワクチンを接種した市民および永住者の帰国を許可し、ニュージーランドも国境再開に向けた準備を進めている。

欧州商工会議所のゴロブ会長は、「香港は中国との往来を最初に再開したいと考えている」と述べ、当局の決定を批判した。「私たちは当局の決定を尊重しなければなりません。しかし、決定は世界一の金融ハブである香港にダメージを与えるでしょう...」

またゴロブ会長は、当局に対するASIFMAの書簡が予想より厳しい内容だったことに驚いたと述べた。「最強の金融組織が決定に懸念を示しています。書簡は香港政府の戦略に大きな影響を与えると思います...」

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