◎カイバル・パクトゥンクワ州の一部地域では数カ月前から多数派のスンニ派と少数派のシーア派により対立が激化し、数十人が死亡する事態となっていた。
パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州でイスラム教シーア派の信徒を乗せた車列が武装集団に銃撃された事件について、警察当局は21日、これまでに42人が死亡し、20人が病院で治療を受けていると明らかにした。
事件は州都ペシャワル近郊の幹線道路で発生。信徒たちは郊外の町から数台の車に分かれてペシャワルに向かっていた。
警察は声明で、「これまでに女性6人を含む42人が死亡、20人がペシャワルや周辺地区の病院に搬送され、数人が意識不明の重体である」と明らかにした。
カイバル・パクトゥンクワ州の一部地域では数カ月前から多数派のスンニ派と少数派のシーア派により対立が激化し、数十人が死亡する事態となっていた。
地元メディアによると、犯行声明を出した組織は確認されていない。警察は宗派間対立が抗争に発展したことを受け、今回の事件現場となった幹線道路を数週間封鎖し、先週封鎖を解除したばかりであった。
警察によると、正体不明の武装兵少なくとも4人が車から降りて、バスや車に向けて銃を乱射したという。
内務省はこの事件を「テロ攻撃」と糾弾。シャリフ(Shehbaz Sharif)首相とザルダリ(Asif Ali Zardari)大統領を含む複数の政府高官が犠牲者に哀悼の意を表した。またシャリフ氏は「このテロに関与した者は罰せられる」と強調した。
パキスタンの人口は約2億4000万人。99%がイスラム教徒で、シーア派の割合は15%と推定されている。
両派は概ね平和的に共存しているが、シーア派が多数派の地域、特にカイバル・パクトゥンクワ州では数十年にわたり緊張状態が続いている。