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ネパール総選挙、新興政党RSPが地滑り的勝利、元ラッパーが首相就任へ


2025年9月の若者主導の反政府運動後に初めて行われた国政選挙で、政治の世代交代を象徴する結果となった。
2026年3月8日/ネパール、首都カトマンズ、国民独立党(RSP)のバレンドラ・シャー党首(AP通信)

ネパールで3月5日に行われた総選挙の結果が確定し、新興政党「国民独立党(RSP)」が地滑り的勝利を収め、長年政治を主導してきた既存政党の勢力図を大きく塗り替えた。2025年9月の若者主導の反政府運動後に初めて行われた国政選挙で、政治の世代交代を象徴する結果となった。

選挙管理委員会によると、元ラッパーでカトマンズ市長を務めたバレンドラ・シャー(Balendra Shah、35歳)党首率いるRSPは、議会下院(代議院:定数275)で182議席を獲得した。内訳は小選挙区で125議席、比例代表で57議席、単独で3分の2に迫る圧倒的多数となった。ネパール会議派は38議席にとどまり、共産党系政党など従来の有力勢力も大敗を喫した。

代議院は小選挙区165議席と比例代表110議席で構成される。比例代表の議席については各党が提出する名簿を基に配分され、正式な議会招集と新政権の発足には数日を要するとみられている。新首相は議会の過半数の支持を得て選出される仕組みで、議席数からみてシャー氏が首相に就任する可能性が高い。

シャー氏は2022年にカトマンズ市長に就任し、政治の世界で注目を集めた人物である。建設工学を学んだ後、社会問題を扱ったラップで人気を得た経歴を持つ。若者を中心に高い支持を集め、SNSなどを通じて政治改革や腐敗撲滅を訴えてきた。

2025年には政府によるSNS規制をきっかけに、腐敗や政治不信への怒りが爆発し、若者主導の大規模な抗議運動が全国に広がった。デモは暴動に発展し、政府庁舎への襲撃や治安部隊との衝突で多数の死傷者が出た末、当時のオリ政権が退陣した。シャー氏はこの運動で象徴的な存在となり、政治的影響力を急速に高めた。

今回の選挙では政治腐敗の一掃や雇用創出、教育・医療の改善などを掲げる改革路線が若い有権者の支持を集めた。特に海外出稼ぎに頼る経済構造や失業問題への不満が強く、既存政党への不信感が新興勢力への支持につながったとみられている。

シャー氏自身も選挙区で立候補し、オリ(Khadga Prasad Oli)前首相を大差で破って当選した。この結果はネパール政治の象徴的な世代交代として国内外で大きな注目を集めている。

ただし、新政権には多くの課題も残されている。ネパール経済は海外送金への依存が高く、若者の失業や出稼ぎ労働の増加が深刻な問題となっている。また、中国とインドという大国に挟まれた地政学的環境の中で、外交バランスをどう取るかも大きな課題だ。

新興政党の圧勝は長年続いた政治体制に対する国民の不満が爆発した結果ともいえる。若者世代の期待を背負うシャー政権が実際に政治改革を実現できるかどうかが今後のネパール政治の行方を左右する。

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