中国は世界の人工知能(AI)競争で米国を追い詰めつつある?
米国のSNSやアプリ企業が中国製AIモデルの利用を試験的に始めている。
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中国が世界の人工知能(AI)競争で米国を追い詰めつつあるのではないかとの観測が強まっている。これは最新世代のAIモデルやテクノロジーが表舞台で脚光を浴びる中で、米国主導の構図が変わりつつあることを示唆するものである。英BBCはこの点を検証し、欧米企業だけでなく米国のスタートアップ企業も中国発AI技術に目を向け始めている実態を報じた。
米国のSNSやアプリ企業が中国製AIモデルの利用を試験的に始めている。米国の人気ビジュアル共有サービスPinterest(ピンタレスト)では、運用の効率化とユーザー体験の改善を目的に、中国企業が開発したAIモデル「ディープシーク(DeepSeek R-1)」を推薦エンジンの一部に導入しつつあるという。これは、中国製AI技術が米国企業製品と同等またはそれに匹敵する性能を示している兆候とみなされている。
DeepSeek R-1は2025年1月に公開され、低コストで汎用性の高いAIモデルとして注目を浴びた。オープンソースとして公開されたことで、開発者が自由に活用・カスタマイズできる点も評価されており、これがAIコミュニティ内でのモデル展開を加速させたとの分析もある。
この傾向は単一企業の成功例にとどまらない。中国国内ではディープシーク以外にもアリババ(Alibaba)のQwen、バイトダンス(ByteDance)やその他多数の企業が独自のAIモデルを開発し、国内外での使用が進んでいると報じられている。また、こうした中国のAI技術は性能面だけでなく、利用のしやすさやコスト面でも海外市場にアピールしており、米国勢のAIモデルと競合しうる状況が生まれているとの指摘もある。
専門家の間では中国がAI競争で実際に「勝利」するかどうかについて議論が分かれている。米国側は依然として最先端のAI研究や高性能チップに強みを持つとする一方、中国のAI技術は国家戦略として長期的な育成が進み、特定領域では米国を追い上げているとの評価もある。実際に、2025年の研究データでは中国がAI関連の論文発表数で世界をリードしつつあるとの分析もあり、研究基盤の拡大が進行している。
この動向は単なる技術競争にとどまらない。人工知能は産業・軍事・経済に広範な影響を及ぼす戦略的技術であり、国家間競争の核心となっている。米中両国は先端AI技術の獲得を国家戦略の柱に位置づけており、中国の台頭は世界の技術勢力図を変える可能性があるとの見方も出ている。
加えて、米国や欧州ではAIモデルの商用化と倫理・安全性規制の議論が進む一方、中国では政府主導でAIの社会実装を加速させる動きが強い。こうした政策環境の違いも、競争の行方に影響を与える要素として注目されている。
総じて、中国が静かにではあるが着実にAI分野で存在感を高めていることは国際的な関心を集めている。特に、オープンソースAIや低コストで柔軟な運用が可能なモデルの普及は、従来のハイエンドAI一極支配の構図を揺るがす可能性があるとみられている。
