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オーストラリアのSNS禁止令、施行から1か月、議論続く

世界で初めてとなるこの規制は、2025年12月10日に発効し、ティックトックややスナップチャット、フェイスブック、インスタグラムなど主要なプラットフォームで16歳未満のアカウントを無効化する措置が始まった。
SNSアプリとオーストラリアの国旗(Getty Images)

オーストラリアで16歳未満の若者を対象とするソーシャルメディア利用禁止措置が施行されてから1か月が経過し、若者や保護者の間で様々な反応が出ている。世界で初めてとなるこの規制は、2025年12月10日に発効し、ティックトックややスナップチャット、フェイスブック、インスタグラムなど主要なプラットフォームで16歳未満のアカウントを無効化する措置が始まった。政府は若年層をネット依存や有害なコンテンツから守ることを目的としているが、効果や影響については議論が続いている。

シドニー在住の14歳の少女は施行後、ソーシャルメディアから離れた生活を送っている。少女はBBCニュースの取材に対し、「数年ぶりに自由を感じている。電話から切り離された気がする」と話し、規制開始初期はスマホを手に取る習慣が自然に続いていたものの、数日でそのクセが薄れたと日記に記したという。少女のケースは、禁止措置が若者の日常に変化をもたらしている一例として注目されている。

一方で、禁止の実効性については懐疑的な声もある。SNS禁止措置を受けた若者の中には規制を回避して従来のアプリにアクセスする者も現れており、親や年上の知人のアカウントを借りる、VPNなど技術的な手段で地域制限を迂回する例が報じられている。こうした動きは、禁止措置が必ずしも完全に機能していないことを示唆している。

禁止措置の背景には、ソーシャルメディア依存が若者に与える心理的負担やメンタルヘルスへの悪影響への懸念がある。政府はソーシャルメディアが若年層に有害なコンテンツや中毒的な設計を提供しているとし、これらから子どもを守るための規制措置であると説明している。

しかし専門家の間では、単純な禁止が長期的な解決策となるかどうか慎重な意見もある。禁止によって一部の若者がオンラインでの交流の場を失い、孤立感を強める可能性や、禁止対象外のプラットフォームや回避手段に流れることで規制の目的が達成されないとの指摘もある。禁止開始後の夏休み期間中、学校という社会的構造が消えた状態でソーシャルネットワークを断たれた若者の中には不安や孤立を感じるケースもあるとの報道がある。

一方で、支持の声も根強い。多くの親や教育関係者は、若者がオンライン環境に過度に依存する現状に警鐘を鳴らし、今回の措置を「子どもを子どもらしく守る」と評価する意見を示している。また、オーストラリア国内外で他国も類似の規制を検討しているとの報道があり、今回の取り組みが国際的な議論のきっかけとなっている。

オーストラリア政府は禁止措置を継続的に評価し、今後2年間にわたってメリットや予期せぬ結果についてデータを収集し分析する方針を示している。規制の実効性や若者の社会的・心理的影響については引き続き議論と検証が必要だ。

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