ベネズエラ大統領のYouTubeアカウント凍結、米国との緊張高まる中
ユーチューブの親会社であるグーグルはマドゥロ氏のアカウント凍結の理由を明らかにしていない。
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ベネズエラの独裁者であるマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領のユーチューブアカウントが20日、突然利用不能になった。
国営テレビはX(旧ツイッター)への投稿で、前夜遅くに正当な理由なく「削除された」と報じた。
ユーチューブの親会社であるグーグルはマドゥロ氏のアカウント凍結の理由を明らかにしていない。
マドゥロ氏のアカウントは19日までに20万人以上のフォロワーを有し、演説や国営テレビの番組のクリップを公開するために使用されていた。
ベネズエラの野党や反体制派は以前からユーチューブがマドゥロ氏の偽情報を垂れ流し続けていると非難していた。
ユーチューブがアカウントを凍結する理由は利用規約やコミュニティガイドラインに違反したと判断される場合が中心となる。典型的な理由には著作権侵害、ヘイトスピーチや過激な暴力表現の投稿、児童搾取や性的に不適切なコンテンツの公開などがある。
また、誤情報の拡散やスパム行為、詐欺目的のリンク拡散なども凍結対象となる。広告収益を伴う場合には、ポリシー違反による収益化停止から最終的なアカウント削除に至るケースも多い。
さらに、短期間に複数の規約違反警告を受けた場合や、重大な違反を一度でも行った場合には即時凍結されることもある。ユーチューブ側としては、利用者の安全性や法的リスクを最小化し、広告主や視聴者の信頼を維持する必要があるため、凍結措置は単なる規律強化ではなく、プラットフォーム全体の健全性を守る手段と位置づけられている。
マドゥロ氏は昨年の大統領選挙で不正を働いたと広く非難されている。
マドゥロ氏に忠誠を誓う選挙管理委員会は昨年7月の大統領選の集計結果を公表せず、マドゥロ氏が得票率51%で勝利したと宣言した。
しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保・精査した結果、全野党の統一候補であるゴンザレス(Edmundo González)氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけていたことが明らかになった。
米国やEUを含む数十カ国が選挙の勝者をゴンザレス氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけてきた。
しかし、最高裁判所は24年8月末、マドゥロ氏の勝利を認定。さらにカラカスの地方裁判所は同年9月、ゴンザレス氏が選挙結果を捏造し、暴動を煽ったなどとして逮捕状を発行した。
この結果、ゴンザレス氏はスペインへの亡命を余儀なくされた。
欧米諸国はこれを受け、マドゥロ政権に対する制裁を強化。トランプ米政権は今年、ベネズエラ移民の強制送還を本格化させた。
治安部隊は選挙後の抗議デモを厳しく取り締まり、少なくとも28人が死亡、220人が負傷し、約2000人が逮捕された。
地元の人権団体はこのデモで逮捕された500~1000人が裁判を受けることなく刑務所に収監されたと報告している。
米政府は8月、マドゥロ氏にかけている報奨金を5000万ドル(約73.9億円)に引き上げた。