◎最高裁が下した決定と最近の反対派の政治的弾圧は、マドゥロ大統領がクリーンな選挙を許可するつもりがない証拠である。
米州機構は28日、ベネズエラの最高裁判所が野党指導者マチャド(María Corina Machado)元議員の大統領選出馬を禁じたことに怒りを表明した。
米州機構は声明の中で、「最高裁が下した決定と最近の反対派の政治的弾圧は、マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領がクリーンな選挙を許可するつもりがない証拠である」と断じた。
マチャド氏は今年6月の大統領選に出馬すると表明しており、独裁者のマドゥロ氏に勝利し、同国の民主主義を取り戻す「希望の光」として有権者の支持を集めている。
マチャド氏は昨年10月、バイデン政権が支援する野党の選挙管理当局が主催する大統領予備選で大勝。得票率は94%に達した。
マドゥロ政権はマチャド氏に15年間の選挙出馬禁止令を科している。
マチャド氏はマドゥロ政権から公式の禁止令を受けていないと主張。先月、最高裁に禁止令の差し止めを求め提訴していた。
国営メディアは10月の予備選の投票数を100万票程度と予想していたが、全国の投票所には土砂降りにもかかわらず数万人が何時間も列を作った。野党選管は約240万人が票を投じたと報告している。
マチャド氏の勝利から数日後、マドゥロ氏の支配下にある検察当局は予備選の関係者が有権者の個人情報を盗んだり、資金洗浄(マネーロンダリング)に関与した疑いがあると突然主張した。
この予備選前、米国の支援を受ける野党とマチャド政権は2024年後半に大統領選を実施することなどで合意。これにより、バイデン政権はベネズエラの石油・ガス・鉱業部門に対する制裁を一部緩和した。
米州機構は最高裁の判決を非難し、「ベネズエラの自由・公正・透明な選挙の可能性を排除するものである」と怒りをあらわにした。
マドゥロ政権はマチャド氏に選挙出馬禁止令を科しているが、昨年の予備選は野党が主催したものであったため、出馬できた。マチャド氏はマドゥロ政権から禁止令を受けていないと主張している。
米政府は27日、最高裁の判決と野党候補や市民団体に対する最近の政治的弾圧に言及。「ベネズエラに対する制裁緩和政策を見直している」と表明した。
バイデン(Joe Biden)大統領はマドゥロ政権がマチャド氏らの出馬禁止令を解除せず、恣意的に逮捕・投獄した政治犯を釈放しなければ制裁緩和を撤回すると警告している。