◎西側諸国はペルー当局とデモ隊に自制を求めている。
2022年12月9日/ペルー、首都リマで行われた陸軍の式典、ボルアルテ大統領(Martin-Mejia/AP通信)

ペルー議会は20日、2026年に予定されている大統領選および議会選を前倒しするかどうかを再検討する予定だ。

ボルアルテ(Dina Boluarte)大統領は来年12月に総選挙を前倒しするよう議会に要請したが、野党が過半数を占める議会はこの動議を圧倒的反対多数で否決した。

ボルアルテ氏は17日の国民向け演説で、「国民の声を聞いて!」と議会に訴えたが、議員の支持を得ることはできなかった。

ボルアルテ氏は演説の中で、「ペルー国民の80%以上が国の安定のために総選挙を望んでいる」という世論調査データを引用し、議員たちに再考を求めた。「国民の考え、国民が求めていることを見て決断してください」

元教師である左派のカスティジョ(Pedro Castillo)前大統領は今月7日、議会を一時的に解散し、「特別緊急政府」を設置するとテレビ演説で発表したものの、議会の弾劾投票で罷免され、同日遅くに反逆罪で逮捕された。

その後まもなく、副大統領のボルアルテ氏が同国初の女性大統領に就任した。

カスティジョ容疑者の罷免と逮捕は広範な抗議デモを引き起こし、一部地域で暴動に発展。ボルアルテ氏は30日間の非常事態を宣言し、軍と警察の権限を強化した。

しかし、カスティジョ容疑者を支持するデモ隊は激しいデモを続け、南部では空港が占拠される事態に発展している。

デモ隊はボルアルテ氏を「裏切り者」と呼び、議会と政権の「解体」および即時の総選挙を求めている。

この騒乱で少なくとも20人が死亡し、数百人が負傷した。

ペルーで2番目に利用者の多い南部クスコの空港はデモ隊の投石、花火、炎上タイヤ攻撃に直面し1週間閉鎖されたものの、19日に運航を再開した。

治安部隊は19日、南北アメリカ大陸を結ぶパンアメリカンハイウェイの一部を1週間以上占領したデモ隊数千人を解散させるために催涙ガス弾を撃ち込んだ。

西側諸国はペルー当局とデモ隊に自制を求めている。

ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官は18日にボルアルテ氏と電話会談を行い、民主主義を確立する努力を加速させることで一致した。

EUも19日、暴力の即時停止を求めた。

一方、カスティジョ容疑者の弁護士は20日、地元メディアのインタビューで、「カスティジョ氏は同国が危機に瀕していることを認識しており、暴力の終結を望んでいる」と語った。

また弁護士はカスティジョ容疑者の逮捕を「不当」と非難し、即時の釈放と対話を求めた。裁判所は15日、カスティジョ容疑者の公判前勾留期間を18カ月に延長した。

メキシコ政府は20日、カスティジョ容疑者とその家族の亡命を認め、ペルー政府と交渉を続けていると明らかにした。

メキシコ政府によると、カスティジョ容疑者の家族と関係者は在ペルー・メキシコ大使館に避難しているという。

メキシコのオブラドール(Andres Manuel Lopez Obrador)大統領は今月初め、「カスティジョ氏から亡命を希望する電話を受け、許可する予定だったが、カスティジョ氏はリマの大使館に到着する前に逮捕された」と述べていた。

2022年12月7日/ペルー、首都リマ、反逆罪で逮捕されたカスティジョ前大統領(Renato Pajuelo/AP通信)
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