チリ新大統領が宣誓、ピノチェト独裁政権以来の急激な右傾化
カスト氏は2025年12月の大統領選決選投票で左派政権の後継候補を破った。
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南米チリで大きな政治的転換が起きている。保守強硬派の政治家であるホセ・アントニオ・カスト(José Antonio Kast)大統領が11日、中部バルパライソで就任宣誓を行い、第38代大統領として正式に政権を発足させた。今回の政権交代は1990年に軍事独裁が終結・民主化して以来、最も大きな右傾化とみられている。
就任式には各国首脳らが出席し、アルゼンチンのミレイ(Javier Milei)大統領やスペイン国王フェリペ6世(King Felipe VI)などが参列した。一方で、ブラジル大統領やエルサルバドル大統領は欠席した。米国からは国務副長官が代表として出席するなど、外交面でも新政権の方向性に注目が集まっている。
カスト氏は2025年12月の大統領選決選投票で左派政権の後継候補を破った。犯罪の増加や不法移民への不満を背景に、治安強化や移民規制を掲げた強硬な政策が有権者の支持を集めたとされる。こうした主張は近年ラテンアメリカで広がる「法と秩序」を重視する政治潮流とも重なる。
新政権の重要課題は治安対策である。近年チリでは組織犯罪や麻薬組織の活動拡大が問題となっており、国民の不安が高まっている。カスト氏は不法移民の取り締まり強化や大量送還、国境へのフェンス設置などを検討し、治安政策を政権の中心に据える方針を示している。
また、経済政策では規制緩和や財政支出の抑制を掲げ、民間投資を促進することで成長を目指すとされる。一方で議会では与党勢力が過半数を握っておらず、政策実現には中道勢力などとの協力が不可欠だ。
左派のボリッチ(Gabriel Boric)前大統領は2022年に就任した際、社会改革への期待を集めた。しかし、治安悪化や経済問題などへの対応に批判が高まり、世論調査では民主化以降で最も低い支持率の大統領の一人となった。こうした政治状況が、今回の大きな政権交代につながったと分析されている。
カスト氏は今後、治安対策や移民政策を中心に改革を進める考えを示している。ただし、国内ではピノチェト独裁政権時代の記憶が強く残っており、強硬な右派政策への警戒も根強い。チリ政治が今後どのような方向へ進むのか、国内外から注目が集まっている。
