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チリ巨大陥没穴、出現から3年、地元住民の不安解消せず

裁判所は今月、カナダ資本のルンディン・マイニングが所有するアルカパルロサ銅山での活動に関連する環境被害の修復を命じた。
2022年8月1日/チリ、北部コピアポの鉱山地帯にできた陥没穴(Johan Godoy/ロイター通信)

チリ北部コピアポの鉱山地帯に巨大な陥没穴ができてから3年。地元住民は今も埋まらないこの穴への不安が和らぐことを期待している。

裁判所は今月、カナダ資本のルンディン・マイニングが所有するアルカパルロサ銅山での活動に関連する環境被害の修復を命じた。同銅山での活動が陥没穴の原因とみられている。

裁判官は同社に対し、地域の水源保護と陥没穴の埋め戻しを求めている。穴の深さは200メートル、直径は36メートルに達した。

地元住民はこの巨大な穴がさらに拡大し、土地を飲み込むのではないかと懸念していたが、この判決でわずかながら安堵を得た。

現場から800メートル離れた場所に住む女性はロイター通信の取材に対し、「陥没穴が発生して以来…私たちは恐怖の中で暮らしてきた」と語った。

2022年7月末、直径36メートル、深さ約200メートルに及ぶ巨大な陥没穴が突如として出現した。この現象は地元住民やメディアを驚かせ、国内外で大きな注目を集めた。陥没が確認された場所は、カナダ資本の鉱業会社ルンディン・マイニングが運営するアルカパルロサ銅山の敷地内で、主に銅を採掘している地域である。

陥没の発生当初、幸いにも人的被害や建造物への直接的な損害はなかったが、地元住民や労働者の安全への不安は高まった。政府機関である鉱業・地質庁が現地調査を行い、原因究明が進められた。その結果、鉱山の過剰採掘によって地中の空洞が拡大し、地盤が支えきれなくなったことが陥没の一因と考えられている。

鉱山では地下深部から鉱石を採掘する過程で地中に大規模な空洞が形成されていたとされ、その管理やモニタリング体制の不備が問題視された。特に、鉱山運営会社が採掘計画を超えて鉱石を掘削していた可能性があり、チリ政府は企業に対して責任の所在を問う姿勢を強めた。環境監視機関(SMA)は調査の結果、企業による環境規制違反の疑いがあるとして行政処分を検討している。

この陥没穴はその大きさから「地獄への穴」などと呼ばれ、衛星写真にもはっきりと写るほどの規模である。周辺住民の間では、鉱業活動による環境破壊や水資源への影響に対する懸念が以前から存在しており、今回の陥没を機に反鉱山運動が一部で再燃した。また、鉱業がチリ経済の基幹産業である一方で、持続可能性や安全性を軽視した運営に対して、国民的な議論も高まっている。

その後、ルンディン・マイニング社は陥没周辺の掘削作業を中止し、地質構造の再調査と補強措置を進めることを表明した。また、今後の操業継続には厳格な監視と政府の承認が必要となる見通しである。チリ政府も、このような事例が再発しないよう鉱業活動に対する規制の見直しと技術的基準の強化を進めている。

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