エクアドル、スペインによるギャングリーダーの釈放に抗議、身柄引き渡し請求で不備
スペイン当局は2024年10月、容疑者とその兄弟をテロ容疑で逮捕、拘束した。
.jpg)
エクアドル政府は7日、スペインの裁判所が「コマンダー・ウィリー」と呼ばれる犯罪組織のリーダーとされるウィリアム・ホフレ・アルシバル・バウティスタ(William Joffre Alcivar Bautista)容疑者の釈放を認めた決定に対して正式に抗議した。容疑者は2024年にエクアドルの最大都市グアヤキルでテレビ局の生放送中に行われた暴力的な襲撃事件に関与したとされる人物で、エクアドル当局がスペインからの身柄引き渡しを求めていた。
スペイン当局は2024年10月、容疑者とその兄弟をテロ容疑で逮捕、拘束した。しかし、高等裁判所はエクアドル側が拘留中の安全確保に関する保証を正式に提出することを条件に容疑者の身柄引き渡しを承認したものの、必要な保証が提出されなかったとして、2025年12月29日に容疑者を釈放した。高裁はエクアドル側に対して複数回の要請と警告が行われたが、期限内に条件が履行されなかったとの判断を示している。
これに対してエクアドル内務省は、身柄引き渡しに必要な文書をすべて提出したと反論、釈放決定には説明のつかない遅延があったと指摘した。また、容疑者が釈放された後、エクアドル政府は再逮捕と再引き渡しに向けて取り組んでいると述べたが、容疑者の兄弟が同様に釈放されたかどうかは明らかにしていない。
2024年のテレビ局襲撃事件はグアヤキルのTCテレビスタジオで13人の覆面と重武装の男たちが生放送中に侵入し、スタッフを床に伏せさせるなどの暴力行為を行ったもので、約20分間にわたり放送が中断された。警察は最終的に人質を救出し、襲撃者は降伏したが、この事件は同国の治安情勢の深刻さを象徴するものとして国内外に衝撃を与えた。
この事件を受け、ノボア(Daniel Noboa)大統領はギャング組織との「戦争」を宣言し、ギャングをテロリストに指定、治安対策の強化を進めてきた。ノボア政権は治安悪化への対応として軍や警察の権限強化を進め、国民投票でも治安対策強化が支持されている背景がある。
エクアドル国内では近年、組織犯罪や暴力事件が急増、ギャング間抗争や麻薬関連犯罪が治安に深刻な影響を与えている。政府は複数の犯罪組織壊滅に向けた作戦を展開しているものの、治安状況は依然として不安定であり、今回のスペインによる釈放決定はエクアドル政府にとって大きな打撃となっている。
エクアドル政府は今後もスペインとの協議を続けながら、容疑者の再逮捕と引き渡しに全力を尽くす方針だが、国際的な犯罪捜査と司法協力の難しさが浮き彫りとなっている。
