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チリ山火事、消防士に対する銃撃相次ぐ、死者も

今回の火災は同国史上最大級の惨事の一つとされ、1月23日時点で少なくとも21人が死亡、300人以上が負傷し、2359棟の家屋が焼失した。
2026年1月20日/チリ、ビオビオ州リルケン、山火事の影響を受けた地区(AP通信)

チリ中部・南部で大規模な山火事が発生し、消防隊員や治安部隊が炎と戦う中でギャングによる攻撃やドローンの妨害、放火の脅威に直面していることが明らかになった。今回の火災は同国史上最大級の惨事の一つとされ、1月23日時点で少なくとも21人が死亡、300人以上が負傷し、2359棟の家屋が焼失した。消失した森林や都市部の面積は4万5700ヘクタール(東京ドーム1万個分)に達し、2024年の大規模火災を大きく上回っている。

被災地では多数の住民が仮設避難所に身を寄せ、行方不明者が多数いる可能性も指摘されている。捜索チームが収容した人体の一部は法医学的分析に回されているという。火災の中心地となった中部ビオビオ州リルケンでは地域住民が消防士や警察官の献身的な活動を称えると同時に、大きな悲しみに直面している。

ボリッチ(Gabriel Boric)大統領は現地を視察し、国を挙げて2日間喪に服すと宣言した。またボリッチ氏はギャングによる消防士への攻撃について「消防隊員に対するいかなる攻撃も社会全体の非難に値する」と述べ、攻撃者は一人残らず責任に問われると強調した。

山火事現場では消防隊員に対する銃撃など少なくとも2件の攻撃が報告され、治安当局が捜査を進めているが、まだ逮捕には至っていない。こうした攻撃は消防活動の妨げとなるだけでなく、被災地全体の不安を高めている。

さらに、民間人が飛行させるドローンも大きな問題となっている。報道によると、報道関係者や一般市民が撮影目的でドローンを飛行させ、消火用航空機の活動を一時停止させる事態が発生している。当局は消防飛行機のパイロットや周囲の隊員の安全を危険にさらすとして、こうしたドローンの飛行は山火事現場では禁止されていると警告している。

出火原因についても深刻な問題が浮かび上がっている。ボリッチ氏によると、今シーズンだけで少なくとも70人が放火または放火未遂で逮捕されている という。警察はリルケン近郊の地区で小規模な火災を意図的に起こした疑いのある人物を逮捕するなど、放火行為を追及している。

国際的な支援も始まっている。メキシコから145人の消防士がビオビオ州の空港に到着し、地元の消防士と連携して活動を続ける予定だ。さらにウルグアイや米国、ウルグアイ空軍機なども支援に参加する見込みであり、チリ政府は国連機関やEUとも追加支援について協議している。

この山火事は激しい炎による被害だけでなく、消防活動を困難にする人的脅威と妨害が重なり、救助・消火の現場は極度の緊張状態にある。このため政府は火災鎮圧と同時に 治安維持と責任追及、支援体制の強化を急いでいる。

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