チリ全土で環境規制の緩和に抗議するデモ、数千人参加
抗議の背景にはカスト政権が発足後まもなく、前政権期に整備された環境保護策の見直しを進め、複数の規制や保護措置を停止・緩和したことがある。
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チリの首都サンティアゴで22日、「世界水の日」に合わせて、環境規制の後退に抗議する大規模なデモが各地で行われた。サンティアゴをはじめとする国内各都市で市民や環境団体のメンバーら数千人が行進し、右派のカスト(José Antonio Kast)大統領による政策転換に反対の声を上げた。
抗議の背景にはカスト政権が発足後まもなく、前政権期に整備された環境保護策の見直しを進め、複数の規制や保護措置を停止・緩和したことがある。これらには産業排出の規制強化や自然保護区の管理強化、生態系保全に関わる措置などが含まれていた。特に、希少種の保護や水資源の持続的利用に関わる制度の後退は、一部市民の反発を招いた。
デモ参加者たちは「水は権利であり商品ではない」と訴え、現行の水資源管理制度や規制緩和が企業利益を優先し、市民生活や環境を犠牲にしていると批判した。チリでは長年、水資源の民営化と配分の不均衡が問題となっており、農業や鉱業など大規模産業が多くの水利権を保有する一方、一部の地方では安全な飲料水へのアクセスが困難になっている。こうした状況の中での規制緩和は、格差をさらに拡大させるとの懸念が広がっている。
一方、カスト氏は規制見直しについて、経済成長と雇用創出を促進するために必要な措置だと説明している。同氏は環境保護の重要性自体は否定していないものの、過度な規制が投資を阻害し、結果として国民生活に悪影響を及ぼすと主張する。政府は今後、より柔軟で効率的な環境政策への転換を図るとしている。
しかし、環境団体はこうした方針に強く反発し、今回の抗議行動はその象徴的な表れとなった。参加者の中には気候変動の影響が深刻化する中での規制後退は時代に逆行すると指摘する声も多い。特に干ばつが頻発するチリにおいて、水資源の管理は喫緊の課題であり、政策の方向性は国内外から注視されている。
今回の世界水の日におけるデモは単なる一過性の抗議にとどまらず、水資源と環境政策をめぐる対立が今後も続く可能性を示唆するものとなった。経済成長と環境保護の両立という難題に対し、チリ社会がどのような選択をするのかが問われている。
