◎パレスチナ通信(WAFA)は外務省高官の声明を引用し、チリ政府を称賛した。「正しい判断だ!」
チリ政府は22日、パレスチナ自治政府が管理する領内に大使館を開設する予定と発表した。
パレスチナ外務省は同日、チリ政府の計画を歓迎し、「この決定は国際法を尊重せよという国際社会の重要なシグナルになる」と述べた。
ロイター通信によると、チリのウレホラ(Antonia Urrejola)外相はこの計画が事実であることを認めたものの、スケジュールは決まっておらず、「チリはパレスチナとイスラエルを合法的な国家として承認し続けている」と強調した。
今年3月に就任した急進左派のボリッチ(Gabriel Boric)大統領は21日遅く、首都サンティアゴで開催されたパレスチナ人コミュニティ主催の式典に出席した際、大使館開設を発表していた。
ボリッチ氏は演説で、「私は間違っていますか?」と述べ、決定を擁護した。「私たちはパレスチナの駐在員事務所を大使館に格上げするつもりです」
パレスチナ通信(WAFA)は外務省高官の声明を引用し、ボリッチ氏を称賛した。「正しい判断だ!」
パレスチナ外務省はこの計画について、「国際法とパレスチナ人の独立国家樹立の権利を支持するチリ国家およびボリッチ大統領の立場を確認、称賛する」と述べている。
チリに居住するパレスチナ人は30万人以上と推定され、その多くがヨルダン川西岸地区出身またはそこの家族をルーツとしている。
チリは1998年、西岸地区の都市ラマラに駐在員事務所を開設した。そして2011年にパレスチナを国家として公式承認し、ユネスコへの加盟も支持している。
ボリッチ氏は22日の声明で、「在パレスチナ・チリ大使館にはパレスチナ人にふさわしい代表を送り、パレスチナ人にふさわしい在外公館になる」と述べたが、設置場所と時期には言及しなかった。
イスラエルは1967年の第三次中東戦争でヨルダン川西岸などを占領し、130以上の入植地を建設した。その多くは集合住宅、ショッピングモール、工業地帯を備えている。
イスラエルは東側の旧市街を含むエルサレム全体を首都とみなしているが、国際社会はこれを認めていない。
東エルサレムは1948年の第一次中東戦争後にヨルダンの支配下に移ったものの、1968年以降は東西ともイスラエルの実行支配下に置かれている。
パレスチナ人はヨルダン川西岸および東エルサレムをパレスチナ国家の主要部とすることを望んでいる。
そのような背景から、大使館などの在外公館の設置場所は高い確率で論争に発展する。
トランプ政権は2017年、イスラエルの首都を西エルサレムと認め、大使館をテルアビブから移し、パレスチナ人の怒りを煽った。
さらにトランプ政権は長年パレスチナ人の事実上の大使館として機能してきた占領下の領事館も閉鎖した。
バイデン(Joe Biden)大統領は領事館再開を約束したが、イスラエル政府の反対を受け、就任から2年近く経った今も約束を果たせていない。なお、バイデン政権も西エルサレムの在大使館を維持している。
ロイター通信によると、在イスラエル・チリ大使館はボリッチ政権の発表に関する声明を出す予定はないと述べたという。
オーストラリア政府は10月、西エルサレムをイスラエルの首都と認めた前政権の決定を覆し、西エルサレムへの大使館移転計画も撤回した。