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チリ議会、授業中のスマホ使用禁じる法案可決、26年施行へ

禁止には例外も設定されている。緊急時の連絡や、教育目的など法律で定められた用途については使用が認められるという。
スマートフォンを操作する小学生(Getty Images)

チリの議会下院は3日、「授業中のスマートフォンおよびその他スマート機器の使用禁止」を定めた法案を可決した。対象は小学校および中学校、授業時間中のスマホ使用を原則として禁じる内容となる。

この法律はすでに上院でおおまかな禁止の枠組みが承認されていたが、下院では修正を経た上で最終承認された。今後、ボリッチ(Gabriel Boric)大統領の署名を経て施行され、2026年の新学期開始時から全国で適用される見通しである。

ただし、禁止には例外も設定されている。緊急時の連絡や、教育目的など法律で定められた用途については使用が認められるという。

政府・教育省はこの措置を「子どもや若者の文化的変化を促すもの」と位置づけている。休み時間には友人と顔を合わせて交流し、授業中は集中して学ぶことで、学習環境を改善しようという狙いだ。

こうした法整備の背景にはスマートフォンやデジタル機器が児童・生徒の学習や情緒に与える悪影響への懸念がある。親や教員らは長年、スマホが授業中の注意散漫や学習妨害、さらには精神衛生上の問題をもたらすとして規制を求めてきた。

また、首都サンティアゴのある学校ではすでに携帯電話の電波を遮断する信号ブロック装置を導入。生徒たちが授業中および学校滞在中にスマホを触れない環境を試験的に運用したところ、教育関係者から高評価を受けたという報告もある。

加えて、国際的な学力調査などでは、チリの多くの生徒が「デジタル機器によって学習が妨げられた」と回答しており、こうしたデータが規制強化の根拠のひとつとされている。

今回の法制化によって、チリは授業中のスマートフォン使用を法律で明確に禁止した国家の仲間入りを果たした。一方で、禁止の徹底に伴う学校現場での運用方法や、生徒の自由との兼ね合い、緊急時の対応など現実的な課題も指摘されそうだ。また、スマホ使用が制限された場合、生徒たちの授業外のコミュニケーションや情報アクセスのあり方も変化を迫られるだろう。

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