◎係争地エセキボ地域は石油資源が豊富で、過去数十年ガイアナの支配下に置かれている。その面積はガイアナの国土の7割近くを占める。
ベネズエラのマドゥロ大統領(Getty Images/AFP通信)

ブラジル外務省は29日、係争地エセキボ地域をめぐるガイアナとベネズエラの対立に深刻な懸念を表明し、対話で問題を解決するよう呼びかけた。

同省は両国に協議を再開するよう促し、「第三国はどちらも支援せず、軍事活動は避けるべきだ」と訴えた。

同省は両国の首脳が2週間前に署名したエセキボ地域に関する合意を遵守するよう求めている。

エセキボは石油資源が豊富で、過去数十年ガイアナの支配下に置かれている。その面積はガイアナの国土の7割近くを占める。

ベネズエラのマドゥロ(Nicolás Maduro)大統領は28日、イギリスがガイアナに軍艦を派遣すると発表したことを受け、カリブ海東部で防衛演習を実施すると発表。海軍の兵士ら約5000人はその日のうちに演習を開始した。

マドゥロ氏はテレビ演説の中で、「ガイアナは合意を無視し、エセキボの支配を確立しようとしている」と主張した。

またマドゥロ氏はガイアナの旧宗主国であるイギリスがこの海域に軍艦を向かわせていることについて、「誰もベネズエラの主権・領土を侵害することはできない」と警告。イギリスを「朽ち果てた旧帝国」と呼んだ。

英海軍の軍艦は12月上旬、麻薬密売組織の取り締まりの一環としてバルバドスに派遣されていたが、24日に任務を変更し、ガイアナに向かった。英海軍はこれがいつガイアナ沖に到着するか明らかにしていない。

英国防省によると、同艦はガイアナ軍と共同作戦(演習とみられる)を実施する予定だという。

英海軍は最近、西アフリカ諸国の海軍とも演習を行っている。

ベネズエラはガイアナがイギリスの植民地であった1899年にイギリス、ロシア、米国が国境を決めた際、「ガイアナがエセキボを盗んだ」と非難している。

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