◎中国の三峡ダムに次ぐ世界第2位の発電能力を誇るイタイプダムは、過去90年で最悪の干ばつに直面し、干からびかけている。
2021年10月13日/ブラジルとパラグアイの国境付近、イタイプ水力発電ダム(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

ブラジルの現地メディアによると、隣国パラグアイとの国境にまたがるイタイプ水力発電ダムの貯水率が危険なレベルまで低下しているという。

中国の三峡ダムに次ぐ世界第2位の発電能力を誇るイタイプダムは、過去90年で最悪の干ばつに直面し、干からびかけている。

イタイプダムで発電された電力はブラジルとパラグアイで均等に分けることになっているが、人口の少ないパラグアイは国内需要を十分満たせるため、余剰電力をブラジルに売電している。

イタイプダムのウェブサイトによると、2020年は運用開始以来最も乾燥した年のひとつで、発電量は1994年の最低値と同水準まで落ち込んだという。

ダムの出力を管理するヒューゴ・ザラテ氏はAP通信の取材に対し、「2021年の発電量はさらに減少し、例年の15%ほどになると見込まれている」と述べた。「水不足が2022年までに解消されるとは思いません。今年の干ばつは異常です...」

水力発電はブラジルの総発電量の約3分の2を占めるため、イタイプダムの渇水は深刻な電力不足を引き起こす可能性がある。一部の専門家は、電力危機は今後数か月以内に発生する可能性が高いと警告した。

ジャイール・ボルソナロ大統領は先月、国内のダムの貯水量は限界に達していると述べ、国民に照明を消し、冷たいシャワーを浴び、健康な者はエレベーターの使用を控えるよう求めた。

議会は夏時間の再導入を真剣に検討したが、案はひとまず保留された。

水不足は電力コストだけでなく食料品価格の上昇にもつながった。ブラジルの農家は水不足に頭を抱えている。

ザラテ氏は、「水不足はダムと農家の野菜を枯らすだけでなく、漁業と観光業界にも深刻な影響を与えている」と述べた。

イタイプダムに水を供給するパラナ川はブラジル、パラグアイ、そしてアルゼンチンを通過する南米の主要な商業用水路のひとつである。地元メディアによると、川の水量は過去80年で最低レベルまで低下し、川を航行する船は貨物量(重量)を減らして座礁を防いでいるという。

気候の専門家たちは、人間の活動が世界の気候パターンに影響を及ぼし、深刻な干ばつ、洪水、山火事などの極端な自然災害を引き起こしていると警告している。最近の調査によると、地球で最も淡水資源が豊富なブラジルの地表水は、1991年以来15%減少したという。

ブラジルとパラグアイの国境付近、イタイプ水力発電ダム

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