◎与党自由党は2020年に導入された電子投票機約28万台に問題があると指摘している。
ブラジルのボルソナロ（Jair Bolsonaro）大統領は22日、先月末の大統領選結果に異議を唱え、電子投票を無効にするよう裁判所に求めた。
ボルソナロ氏率いる与党自由党は電子投票機で不正が行われたと主張しているが、証拠は示していない。
高等選挙裁判所は自由党に対し、決選投票だけでなく第1回投票も請願の対象に含めるよう命じている。修正猶予は24時間。
電子投票システムは2回とも同じ機械で行われている。
ボルソナロ氏は第1回投票で世論調査を上回る接戦を演じ、決選投票でダシルバ（Luiz Inacio Lula da Silva）元大統領に敗れた。
＜2022ブラジル大統領選決選投票＞
▽ダシルバ 60,345,999票（50.9％）
▽ボルソナロ 58,206,354票（49.1％）
▽無効票 3,930,695票
▽白票 1,769,668票
高等選挙裁判所はルラ氏の勝利を認定している。
自由党は2020年に導入された電子投票機約28万台に問題があると指摘している。
ボルソナロ氏も以前から、電子投票システムは不正を防止できないと主張していた。
ボルソナロ氏は敗北を認めていないものの、移行作業は認めている。ダシルバ氏は来年1月1日に就任する予定だ。
自由党によると、電子投票を無効にした場合、ダシルバ氏の投票率は48.95％、ボルソナロ氏は51.05％となり、再選が決まるという。
ボルソナロ氏を支持する人々は各地で小規模な抗議デモを続けている。トラック運転手の高速道路封鎖は大混乱を引き起こしたものの、ボルソナロ氏の要請で終息した。
支持者の一部は軍事基地前でデモを続け、軍指導部にダシルバ氏を拘束するよう求めている。
ダシルバ氏は汚職裁判で有罪判決を受け、1年半以上収監され、2018年の大統領選に出馬できなかったものの、そのカリスマ的な人気は衰えず、中道の一部と左派から支持を集め、カムバックを果たした。
最高裁は事件を担当した当時の判事が偏見を持っていたとして、有罪判決を取り消している。
＜ダシルバ氏の基本情報＞
▽77歳
▽左派（中道左派と指摘する専門家もいる）
▽元プレス工（自動車工場勤務）
▽2003～2010年まで大統領
▽2018年に収監も復帰
一方、元陸軍大尉のボルソナロ氏は福音派のキリスト教徒や家族の価値を守ろうとする保守派から多くの支持を集めた。
