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冬は食の豊かさを実感できる季節、食事のコツを伝授

米疾病対策センター(CDC)のデータでは、成人のうち1日あたり推奨される量の果物・野菜を摂取している人はわずか1割に過ぎないという。
シチューのイメージ(Getty Images)

冬季は気温の低下とともに食卓が単調になりがちだが、栄養価の高い旬の食材を活用し、工夫した調理を行うことで健康的な食生活を送ることができると栄養専門家が指摘している。米国の専門家らは、冬は「料理の豊かな季節」として、色鮮やかで栄養豊富な食事を楽しむ好機であると述べ、食事の工夫や季節の食材の取り入れ方についてアドバイスを共有している。

カリフォルニア大学バークレー校の料理栄養士で講師のクリステン・ラスムッセン(Kristen Rasmussen)氏はAP通信のインタビューで、「冬を受け入れ、季節の恵みを味わい、食卓に彩りを加えることが重要だ」と語った。専門家らは、冬の食事において新鮮な食材に限らず、冷凍、缶詰、乾燥した果物・野菜も積極的に取り入れることを勧める。特に乾燥果物やナッツ類は、サラダや焼き物に加えることで簡単に栄養価を高めることができると説明している。

米疾病対策センター(CDC)のデータでは、成人のうち1日あたり推奨される量の果物・野菜を摂取している人はわずか1割に過ぎないという。冬は柑橘類や根菜類が旬を迎え、レモン、オレンジ、さつまいも、かぼちゃ、ビーツ、大根など多様な食材が手に入りやすい。このような季節の食材を使うことで、ビタミンやミネラル、食物繊維を効率的に摂取できるとしている。

また、冬の定番料理としてスープ、シチュー、ポリッジ(おかゆ・雑炊類)が挙げられる。これらは文化や地域を問わず幅広く親しまれており、具材を一つの鍋でまとめて煮込むことで、素材の持つ栄養素を無駄なく取り込める利点があるという。栄養疫学者のリンダ・ヴァン・ホーン(Linda Van Horn)氏は、煮込み料理は味付けや具材の組み合わせ次第でバランスの良い主菜となるほか、冷凍保存もしやすいと指摘している。豆類やレンズ豆などの豆類も植物性たんぱく質や食物繊維が豊富で、寒い季節の食事に適した栄養源として薦められている。

朝食の選択肢としてはオートミールやコンジー、トウモロコシを使ったアトレなど、さまざまな穀物を使ったポリッジが有効だ。ラスムッセン氏は「甘い味付けだけでなく、塩味のトッピングや残り物を載せるなど、メニューの応用範囲は広い」と話す。これにより、冬季でも飽きずに栄養バランスのとれた食生活を続けることが可能になるとしている。

風味づけにはハーブやスパイスの活用が有効であるとされる。ローズマリー、タイム、ナツメグ、スターアニスなどは冬の料理に深みを加えるうえ、抗酸化作用や抗炎症作用などの健康効果が期待されるという。また、寒い時期には香辛料を使った温かい飲み物やおやつを楽しむことで、体を内側から温める工夫にもなると専門家は勧めている。

さらに冬は人によって孤独感が高まる季節でもあるため、友人や家族と一緒に調理し食卓を囲むことが心身の健康に寄与すると指摘する声もある。栄養学者のスーザン・アーロンソン(Susan Aaronson)氏は、仲間と共に「スープグループ」を開催し、それぞれが工夫したスープを持ち寄って楽しむ活動が、社交と新たな味の発見につながると紹介している。

冬の季節こそ、旬の食材を活かし、温かい料理で体を温めると同時に栄養バランスを整えることが健康的な日々につながるとして、専門家らは多様な調理法を提案している。

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