ホリデーギフトの返品、埋め立て地に送らないためにすべきこと
小売各社は返品対応期間の延長や増加する返品業務に備えた人員増強を進めているが、それらの返品には環境面で大きなコストがかかる可能性がある。
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年末のホリデーシーズンが終わると、多くの消費者が「返品ラッシュ」を迎える。全米小売業協会(National Retail Federation)は今年のホリデー期間中に購入された商品のおよそ17%が返品されると推計している。小売各社は返品対応期間の延長や増加する返品業務に備えた人員増強を進めているが、それらの返品には環境面で大きなコストがかかる可能性がある。
返品が増える主な理由は、贈り物を購入する際の不確実性だ。贈られた側の好みやサイズが分からないまま購入するため、特にオンライン注文ではサイズや色が合わず返品される割合が高い。衣類や靴はフィット感が重視されるため、返品率が特に高いという。
商品の返品は単に店舗に戻るだけではない。商品の製造時に使われたプラスチック包装や、それを運ぶ輸送手段によって既に環境に負荷がかかっている。そして返品された商品は再度倉庫や検査センターを経由し、場合によっては再出荷、再販売、リサイクル、あるいは埋立地に送られる。こうした一連の工程でさらに輸送や包装が必要になり、温室効果ガス排出量が増える。ウスター工科大学は返品によって商品の環境負荷が25〜30%増加すると指摘している。
しかも、返品された商品のすべてが再販されるわけではない。再販する価値がないと判断された商品、例えば安価なシリコン製の調理器具や下着、水着などは再び消費者の手に渡る可能性が低く、多くが廃棄される。また、開封されたスマートフォンなど高価な商品であっても、検査や再梱包のコストがかかるため、埋立地行きになるケースもある。こうしたコストは最終的に価格に上乗せされ、消費者が負担している部分もあるという。
消費者側でも環境負荷を抑える行動が可能だ。返品する際には商品を傷つけないようにし、可能であれば元の梱包材を再利用することで、再販の可能性を高めることが推奨される。また、返品が必要な場合は早めに手続きをする方が在庫として販売される可能性が高くなる。実際、ホリデー前の12月20日頃に返品されたセーターは、1月以降に返品される商品より再販につながりやすいとされる。さらに、対面での購入はオンライン注文よりも返品が少なく、返品自体も店頭での手続きが再販を容易にするとの意見もある。
また、衣類のサイズ違いを避けるために複数サイズを同時購入する「ブランケッティング」と呼ばれる行為は、環境負荷の観点から推奨されないという。贈り物を購入する場合には、受け取る側に選んでもらえるギフトカードを選択することで、無駄な返品を減らせるという意見もある。
小売企業側でも返品プロセスの効率化や、返品商品の状態を素早く判断するデジタル管理システムの導入など、環境への影響を減らす取り組みが進んでいる。返品に料金を課すことで不必要な返品を抑制しようとする動きも出てきている。だが企業によってはこうした取り組みを消費者に伝えることに慎重なところもあるという。
ホリデー後の返品は便利さを提供する一方で、環境に大きな負荷を与える可能性がある。消費者と企業の双方が環境への影響を意識した行動を取ることが、今後のサステナブルな消費につながる。
