2025年の米国経済、ホリデーシーズンで明らかに
年末のホリデーショッピングシーズンは毎年、消費者の支出動向が国内景気を映す鏡であり、今年もその傾向が改めて確認された。
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2025年の年末商戦で米国の消費者は財布のひもを緩め、低価格志向を鮮明にするなど独特の消費行動を見せ、米経済の現状を浮き彫りにした。年末のホリデーショッピングシーズンは毎年、消費者の支出動向が国内景気を映す鏡であり、今年もその傾向が改めて確認された。消費支出は米国の経済活動のおよそ3分の2を占めているため、こうした動きは経済全体への影響力が大きいとみられる。
複数のデータによると、2025年のホリデーシーズンの売上高は前年を約3.9%上回った。小売り決済データを分析するマスターカードの「SpendingPulse」では、11月初旬からクリスマス・イブまでのオンラインと実店舗の支払い額で前年を上回る伸びが確認された。これは小売業界が予想していた水準をやや上回る結果で、消費者の支出意欲が依然として強いことを示している。
感謝祭当日のデジタルショッピングも好調で、アドビの分析ではオンラインでの支出が前年から約5%増加した。特にブラックフライデーには前日比で約9%増の支出が記録され、電子機器や家具、玩具など幅広い商品が消費者の関心を集めた。アドビはこれを、予想以上の割引と選択肢の豊富さが購買意欲を刺激した結果だとしている。
ただし、消費者は支出全般を増やしているものの、「安さ」を重視する傾向が顕著だった。データ分析会社プラサー・エーアイの調査では、低価格カテゴリーの伸びが大きく、特に中古品店やディスカウント小売店への来客が増加した。高級ブランドや伝統的なデパートの伸びは限定的で、消費者の支出が価格に敏感であることが浮き彫りになった。
こうした動きは、一般家計の慎重さや経済不透明感の強さを反映しているとの指摘もある。今年はインフレが加速し、賃金の伸びが追いつかないとの懸念が根強く、消費者心理は依然として慎重だという調査もある。ホリデーショッピングへの支出は増加したものの、支出の「質」は変化しているとの見方が出ている。
また、消費者の購買行動には新たな特徴もみられた。購入後の返品が前年より減少する傾向が現れ、消費者が衝動買いを避け、計画的に買い物をしている可能性が示されたというデータもある。これもコスト意識の高まりを裏付けるものとされる。
一方で、小売業界全体では景気の先行きを見据えた慎重な動きもみられる。例年ならば年末商戦期に向けて一時的な季節雇用が拡大するが、2025年は雇用増加の伸びが鈍いとの報告も出ており、企業が景気見通しに対して慎重姿勢を維持していることを反映している。
総じて、2025年のホリデーショッピングは「支出は堅調だが、消費者は価値重視」という二面性を示した。消費の底堅さは米経済へのプラス材料だが、消費者心理の慎重さや企業の予防的な対応は、2026年の経済見通しに不確実性を残す要素として注目されている。経済専門家の間では、この消費の傾向が来年どのように持続するかが米経済の先行きを占う重要な指標になるとの見方が強い。
