◎スリランカは今年、返済期限を迎える対外債務70億ドルの返済を停止し、デフォルトに陥った。
2022年9月11日/スリランカ、首都コロンボ、米国際開発庁のパワー長官(Eranga Jayawardena/AP通信)

米国際開発庁(USAID)のサマンサ・パワー(Samantha Power)長官は11日、壊滅的な経済危機に直面しているスリランカへの支援を表明し、スリランカ政府に汚職撲滅と政治改革を実行するよう呼びかけた。

パワー氏はスリランカの首都コロンボで記者団に対し、「汚職撲滅と政治改革は同国の信頼を高める」と語った。

またパワー氏は「援助だけでこの困難に打ち勝つことはできない」と強調し、ィクラマシンハ政権に行動を促した。「私は大統領に政治改革、汚職撲滅を含む経済改革、説明責任を果たすよう要請します...」

スリランカは今年、返済期限を迎える対外債務70億ドルの返済を停止し、デフォルトに陥った。

国の信用は外貨準備の枯渇と債務不履行で失墜し、信用取引で燃料を販売してくれる取引先は激減した。政府は石油貯蔵施設が空になりかけているとして、燃料の販売を制限している。

外貨が枯渇した結果、食料、ガソリン、医薬品などの必需品が極端に不足した。また政府は有機農業を推進するために化学肥料の輸入を禁じており、結果、過去2シーズンの農作物の収穫高は半分以下に落ち込んだ。

パワー氏は汚職撲滅に向けた取り組みと政治改革が信頼を回復させ、投資を促すだろうと述べた。

パワー氏は2日間の訪問で、スリランカに総額6000万ドルの支援を提供すると発表している。同氏はコロンボ郊外の農家を10日に視察し、次の耕作シーズンまでに肥料や農業資材の購入に必要な資金4000万ドルを援助すると約束した。

世界食糧計画(WFP)によると、スリランカの人口の30%近くに相当する600万人以上が食料の確保に苦労し、人道支援を必要としているという。

パワー氏は11日の会見で、食料の価格高騰に悩まされている人々への人道支援として2000万ドルを追加拠出すると発表した。

ウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)大統領と国際通貨基金(IMF)は4年総額29億ドルの支援策で暫定合意している。IMFは支援を提供する条件のひとつに債務再編の履行を求めている。

スリランカの対外債務の総額は510億ドル以上に上り、そのうち280億ドルは2027年までに返済しなければならない。

米国は債務再編への支援を表明しており、スリランカの大口債権者である中国の協力が不可欠であると強調している。

中国の融資で建設された港、空港、高速道路網などは外貨を獲得できない無駄なインフラと呼ばれている。

前任のラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領は中国の口車に乗せられ、債務トラップに引っ掛かったと非難されている。

2022年6月11日/スリランカ、首都コロンボ、給油所の再開を待つ人々(Eranga Jayawardena/AP通信)
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