◎米国はエチオピアの最大の援助国であり、2022会計年度には食料援助を含む人道支援に18億ドルを拠出している。
米国際開発庁(USAID)は8日、エチオピアに対する食料援助を全面的に停止したと発表した。
それによると、内部調査の結果、北部ティグライ州など、飢えに苦しむ数百万人のために提供した援助の一部が市場に出回っていることが確認されたという。
USAIDのサマンサ・パワー(Samantha Power)長官は今年、連邦議会の上院外交委員会でティグライ州向けの食料援助が大量に盗まれたと報告。この盗難に同州を実行支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)と中央政府の関係者が関与している可能性が高いと指摘していた。
パワー氏は同地域における広範囲かつ組織的な援助物資の盗難を発見するのが遅れたことについて、「それを見抜けなかったUSAIDのミス」と謝罪していた。
米国はエチオピアの最大の援助国であり、2022会計年度には食料援助を含む人道支援に18億ドルを拠出している。
エチオピアの総人口約1億2000万人のうち、紛争や干ばつの影響を受けた約2000万人が援助に頼っている。
エチオピア外務省はUSAIDとの共同声明で、「深く懸念される事実が明らかになった」と述べ、米国と連携して食料援助を盗難・悪用した者の責任を問うと強調した。
また同省は今後の援助を盗難から守るための法改正を約束した。
ティグライ州を含む北部地域は政府とTPLFによる2年に渡る戦争で荒廃した。国連によると、同州の人口約600万人のうち540万人が人道支援に頼っている。
USAIDは先月公表したレポートの中で、「調査員は今年3月にティグライ州シャイアの市場で、13万4000人が1ヶ月間食べられる量のUSAIDの小麦2000トンが売られているのを発見した」と報告している。
また調査員は北部の他の場所でもUSAIDが提供した穀物が販売されているのを確認したという。
政府とTPLFの戦争に巻き込まれ死亡した民間人は数万~最大60万人と推定され、数百万人が国内避難民となり、数万人が近隣諸国に逃れた。
海外メディアはティグライ州への立ち入りを禁じられている。