◎鉄道ストの1日あたりの経済損失は20億ドルに上り、鉄道利用者最大700万人に影響を与える。
米上院は1日、経済に壊滅的な影響を与える可能性のある鉄道労働者によるストライキを回避する法案を賛成80ー反対15で可決した。
法案は全米の鉄道労組12団体に労働契約を遵守するよう求める内容になっている。
バイデン(Joe Biden)大統領もストを回避するよう上下両院に呼びかけ、法案は速やかに採択された。
報道によると、労働者の有給休暇を保障する修正案は反対多数で否決されたという。
下院も法案を可決しているため、バイデン氏が署名すれば成立する。
専門家によると、鉄道ストの1日あたりの経済損失は20億ドルに上り、鉄道利用者最大700万人に影響を与えるという。
労組は12月9日にストを決行すると表明していた。
上院は1日、異例の早さで法案と修正案2つの採決を行った。この手続きには通常、数日かかる。
労組は24%の賃上げと5000ドルのボーナスを年数回に分けて支払うよう会社側に要求している。
また労組は、従業員は健康保険料をより多く負担することになるが、保険料の上限を給与の15%にするよう求めていた。
一方、民主党のサンダース(Bernie Sanders)上院議員は労働者に7日間の有給休暇を付与する修正案を提出したが、否決された。
共和党のサリバン(Dan Sullivan)上院議員は修正案で、労組と鉄道事業者の交渉を期限の12月8日から60日間延長するよう提案したが、これも否決された。
下院は鉄道労働者向けの別の有給休暇法案を可決したが、上院はまだ採決していない。これも可決に必要な60票(議事妨害回避に必要)を集めることはできないと予想されている。
この法案は労働者に毎年7日間の有給休暇を保障するとしている。一部の共和党員と商工会議所はこれに強い不満を表明している。
有給休暇は事前の交渉でも争点となった。それまで労組は休暇より賃上げと障害者給付の拡充を希望していたが、方針を改め、「莫大な利益を上げている鉄道会社は休暇を保障できる」と指摘した。