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米国2025年12月失業保険申請件数減少、健全な水準を維持

失業保険申請件数は一般的に解雇や雇用調整の「リアルタイム」指標とされ、米労働市場の強さを測る重要なデータである。
米ニューヨーク市のクリスマスイルミネーション(Getty Images)

米国の新規失業保険申請件数は12月20日までの週に再び減少し、労働市場の健全さを示す歴史的に低い水準を維持した。労働省が24日に発表した週次報告によると、この週の新規申請件数は前週比1万件減の21万4000件となり、市場予想の23万2000件を下回った。申請件数の減少は2週連続で、依然として低水準が続いていることを示す。

失業保険申請件数は一般的に解雇や雇用調整の「リアルタイム」指標とされ、米労働市場の強さを測る重要なデータである。今回の低い申請件数は、企業による大規模な解雇が広範には発生していないことを示している。ただし、雇用の勢いに関しては鈍化の兆候も見られる。

報告ではまた、過去4週間平均の申請件数もわずかに減少し21万6750件となった。この4週平均は週ごとの変動を平滑化するものであり、労働市場が安定した水準で推移していることを裏付ける数字だ。さらに、継続的に失業保険を受給している人数は12月13日までの週で前週比3万8000人増の192万人に達している。

一方、別の労働指標は必ずしも明るい状況を示していない。政府統計によると、11月の雇用増加は6万4000人とまずまずの伸びだったものの、10月には10万5000人の雇用減少が記録された。この減少の大部分は連邦政府の人員削減によるもので、特に9月末の会計年度終了に伴う大量退職が影響したとみられる。これにより失業率は11月に4.6%まで上昇し、2021年以来の高水準に達した。

雇用増減の詳細として、10月の雇用減少は連邦職員の減少が約16万2000人に上ったことが主因とされる。また、労働省による過去の雇用統計の修正もあり、8月と9月の雇用者数がそれぞれ3万3000人分下方修正された。こうした統計の変動は労働市場の実態を把握するうえで慎重な分析が必要であることを示している。

さらに、企業側からも雇用環境の変化を示唆する動きが出ている。UPS、ゼネラル・モーターズ、アマゾン、ベライゾンなど複数の大手企業が人員削減を発表しており、これらの影響は統計データに反映されるまでに時間を要する可能性がある。

連邦準備制度理事会(FRB)は12月に政策金利を0.25ポイント引き下げ、3回連続の利下げを実施した。FRB議長は労働市場が見かけよりも弱い可能性を理由に利下げを行ったと説明している。また、最新の雇用データはさらに下方修正される可能性があるとの見方も示している。

総じて、米国の失業保険申請件数は歴史的に低い水準にとどまり、解雇件数の増加は限定的である一方、雇用全体の勢いは弱まる中で複数の指標が交錯しており、今後の労働市場動向に注目が集まっている。

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