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米国、カリブ海で6隻目のタンカーを拿捕、ベネズエラ関連

この拿捕により、米国がカリブ海で拘束した制裁違反とみなされるタンカーは6隻目となった。
米海軍の原子力空母ジェラルド・R・フォード(Getty Images)

米政府は15日、カリブ海で制裁対象の石油タンカーを国土安全保障省を中心とする合同部隊が拿捕したと発表した。この拿捕により、米国がカリブ海で拘束した制裁違反とみなされるタンカーは6隻目となった。今回押収されたのはモータータンカー・ヴェロニカ(MT Veronica)と呼ばれる船で、米政府は同船がベネズエラ関連の「影の船団(shadow fleet)」に属し、制裁を迂回して原油取引に関与していたとみている。

米南方軍(SOUTHCOM)司令部と国土安全保障省は共同声明で、今回の作戦はトラブルなく実施されたと説明した。作戦にはUSSジェラルド・R・フォード航空母艦から発進した海兵隊員や水兵、沿岸警備隊の戦術チームが参加し、早朝の公海上で夜明け前にタンカーに接近。ヘリコプターから降下した隊員が船を制圧し、乗組員の抵抗はなかったとしている。海兵隊や沿岸警備隊は船籍や旗国を偽装する制裁逃れの手法が多い「影の船団」に対し、米国と同盟国の制裁を徹底する狙いがあると説明した。

米国側はこのタンカーが過去にベネズエラ海域を通過し、トランプ政権がカリブ海で制裁対象船舶に課した「検疫措置」に違反したと指摘している。この措置は米国がベネズエラ産原油の違法取引を断つために設定したもので、制裁対象の船舶はカリブ海での航行を制限されている。米国はこの措置を「合法的な海上封鎖の一形態」と位置付け、国際法に基づいた執行だと主張している。

今回の拿捕は、25年12月以来行われてきた一連の取り締まりの一環だ。米軍は12月10日に始まった作戦の下、カリブ海およびその周辺海域で複数のタンカーを拘束してきた。過去にはロシア船籍のタンカーやパナマ籍の大型タンカーの押収例もあり、米政府はこれらを「制裁逃れの不正輸送」と断定している。

米国内ではこの海上での制裁強化について、トランプ政権がベネズエラの石油資源を掌握し、同国の経済体制を再構築する意図があるとの見方が広がっている。ホワイトハウスはこれまでに、ベネズエラの原油インフラへの投資計画を示し、数百億ドル規模の投資で同国の石油産業を再建すると表明している。また、押収した原油を米国内市場に供給する可能性も示唆されている。

一方、ベネズエラ政府はこれらの拿捕を「海賊行為」と強く非難し、外交レベルでの抗議を続けている。国際社会の一部は、米国の行動が国際海事法や通商ルールに抵触する可能性を指摘し、法的な議論を呼ぶ可能性もある。制裁措置と海上での取り締まりが今後どのような展開を見せるかは、地域の政治・経済情勢に大きな影響を及ぼすとみられている。

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