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米国成人の75%以上が肥満の基準を満たす可能性 新定義

新定義は、国際的な医療学術誌などが提唱する基準を取り入れており、BMIに加えて体脂肪の分布や追加の身体測定値を評価するものだ。
健康診断のイメージ(Getty Images)

米国の成人の75%以上が新たな肥満基準に該当する可能性があるとする研究結果が発表された。これまで肥満の評価には主に身長と体重から算出されるBMI(ボディマス指数)が用いられてきたが、最新の定義では胴囲やウェスト・ヒップ比、ウェスト・身長比など身体測定値を併せて評価することが提案されている。この新基準を用いると、従来のBMI単独評価よりもはるかに多くの成人が肥満と判定されることが明らかになった。

この研究は、ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター、ハーバード大学、イェール大学などの研究チームが、疾病対策センター(CDC)が実施する「国民健康栄養調査(NHANES)」のデータを用いて行ったものである。調査対象は2017年から2023年までにわたり約1万4000人を含む、米国の約2億3800万人の成人を反映する大規模サンプルである。これらのデータに新定義を適用したところ、米国成人の75.2%が肥満の基準に該当したのに対し、BMIのみの評価では約40%にとどまった。

新定義は、国際的な医療学術誌などが提唱する基準を取り入れており、BMIに加えて体脂肪の分布や追加の身体測定値を評価するものだ。BMIは広く用いられている指標であるものの、体内の脂肪蓄積や分布を十分に反映していないという批判があり、特に内臓脂肪や腹部肥満の評価が健康リスクに直結するとの指摘が強まっていた。新しい基準はこの点を補完し、より多くの人の潜在的な健康リスクを捉える可能性があるとされている。

研究の共著者であるイェール大学の心臓専門医は、BMIだけでは脂肪組織の性質や分布を把握できず、高血圧、糖尿病、心疾患などのリスクとなる「余分な脂肪」を見逃してしまう可能性があると説明している。こうした脂肪は外見では分かりにくいが、健康への影響が大きいという。

研究結果では、従来のBMI評価で「標準」とされた成人のうち、約4割が新基準では過剰な体脂肪とみなされるケースも確認された。また、肥満の割合は高齢者で急激に増加し、ヒスパニック系の成人で高い傾向が見られた一方で、男女間での差は大きくなかった。

専門家の一人は、この結果が示すのは「米国では肥満が想定以上に広範囲に存在している可能性があるという事実」であり、医療現場や公衆衛生政策における対応を再考する必要があると指摘している。また、今回の分析は肥満の評価方法の限界を浮き彫りにしたものであり、基準の広範な採用に向けたさらなる研究が求められているという。

新定義は世界中で70以上の医療団体に支持されているが、実際の診療現場での導入や年齢別のしきい値設定といった課題も残されている。研究チームは、肥満関連疾患の早期発見や治療戦略の改善につなげるために、包括的な評価方法の検討を続けるべきだと結論づけている。

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