◎国連総会が米国のキューバ制裁を非難したのはこれで30回目。
国連総会は3日、米国のキューバに対する厳しい経済制裁を非難する決議案を圧倒的賛成多数で採択した。
禁輸制裁を非難する拘束力のない決議案は賛成185-反対2で採択された。米国とイスラエルが反対、ブラジルとウクライナが棄権した。
国連総会が米国のキューバ制裁を非難したのはこれで30回目。
ケリー(John Kerry)米特使(元国防長官)は演説で、「米国はこの決議案に反対するが、キューバの市民とともに立ち、彼らに有意義な支援を提供する方法を模索し続ける」と力強く語った。
国連副代表は「米国が本当にキューバ人の福祉、人権、自決に関心があるなら、制裁を解除できるはずだ」と反論した。
米国は1960年、故カストロ(Fidel Castro)議長率いるキューバ共産党による企業の国有化などを受け、禁輸措置をとった。
その2年後、措置は強化された。
オバマ(Barack Obama)元大統領は在任中、両国の関係を大幅に見直し、2016年にはハバナを訪問するなど、キューバとの緊張を緩和するためにかなりの措置を講じた。
しかし、トランプ(Donald Trump)前大統領は制裁を強化し、正常化に向けた歩みを後退させた。
バイデン(Joe Biden)大統領はトランプ氏の政策を多少見直し、キューバへの送金や航空便の制限を緩和するなどしている。
米国とキューバの関係はこの地域の移民の急増を受け、緊張している。
キューバ特使は投票に先立ち、「バイデン政権は圧力の道を歩み続けている」と非難した。特使によると、バイデン氏の就任以降の禁輸制裁によるキューバ経済の損失は63億5000万ドルに達したという。
しかし、ケリー氏はキューバの訴えを退け、「制裁はキューバ政府による人権侵害への対応であり、共産党は昨年7月に政治的自由と経済状況の改善を要求する抗議を取り締まった」と反論した。
共産党は抗議デモに参加した市民400人近くを起訴し、その多くに長期刑を宣告している。
バイデン政権はこの弾圧後、追加制裁を発動した。
キューバ特使は米国の人権問題に言及し、こう反論した。「あなたたちに言われたくありません」