◎トランプ大統領は73人に恩赦を与え、70人の刑を全部または一部減刑した。
◎マイケル・コーエン氏は赦されなかった。
2020年8月20日 ブルームバーグ/ニューヨーク州、連邦裁判所前、スティーブ・バノン氏

1月19日、トランプ大統領は元ホワイトハウスの戦略家、スティーブ・バノン氏、エリオット・ブロイディ氏、ポール・エリクソン氏を含む大切な友人などに恩赦と減刑をプレゼントした。

トランプ大統領は73人に恩赦を与え、70人の刑を全部または一部減刑した。

その中で最も注目すべきひとりがバノン氏である。同氏は2016年の大統領選挙で大活躍し、メキシコの壁建設関連のクラウドファンディング詐欺で2020年に逮捕、起訴された。

バノン氏は大統領選挙後も秘かにトランプ大統領をバックアップしていたことが逮捕で判明し、恩赦リストに加えられた。

ホワイトハウスは19日遅くに出した声明の中で、「バノン氏は保守運動の重要なリーダーであり、彼の政治的洞察力は大統領選挙で力を発揮した」と述べた。

2020年、検察はメキシコの壁建設への出資を理由に数十万人から寄付金をだまし取ったバノン氏を厳しく非難した。検察官によると、バノン氏のグループは寄付者から少なくとも100万ドル(1億円)を吸い上げたという。

バノン氏はトランプ大統領を神のように崇めてきたが、寄付金をだまし取られた人たちもトランプ信者だったため、共和党関係者は対応に苦慮したと伝えられている。事件以来、トランプ大統領はバノン氏と距離を置いていた。

バノン氏の裁判は今年の5月24日に予定されていたが、赦された。

エリオット・ブロイディ氏は2016年の大統領選挙でトランプ大統領に資金を提供した金融業者である。同氏は中国とマレーシアの利益のためにロビー活動を行ったと認め、有罪判決を受けた。

2008年2月27日 AP通信/ニューヨーク州、エリオット・ブロイディ氏

ブロイディ氏は、45億ドルの詐欺計画の首謀者とされる容疑者の捜査を取り下げるようトランプ政権に働きかけ、検察官に目を付けられた。

米主要メディアはブロイディ氏の顧問に「恩赦を出してほしいと大統領に懇願したのか?」と質問したが、回答は得られなかったという。

サウスダコタ州出身のベテラン共和党員として知られるポール・エリクソン氏は石油ベンチャーの投資家をだました罪などで有罪判決を受け、昨年ミネソタ州の連邦刑務所に収監された。(懲役84カ月)

エリクソン氏は有罪判決を受けたロシアのエージェント、マリア・ブティナが任務を遂行していた時に、政治家との接触をサポートしたと疑われている。なお、ブティナは最終的にはロシアに帰国することを許可された。

エリクソン氏はブティナ事件で噂された不正行為は全てデマと主張し、弁護士も、「彼は善良なアメリカだ」と疑惑を否定した。

ホワイトハウスは声明で、「エリクソン氏の有罪判決は、ロシア(ブティナ)の共謀のデマに基づいていた。検察はロシアの関係で起訴できなかったため、軽微な金融犯罪で彼を起訴した。この恩赦は、アメリカ史上最大の魔女狩りのひとつの間違いを正した画期的なものである」と述べた。

2003年7月25日 C-SPAN/ポール・エリクソン氏

ニューヨーク・タイムズによると、恩赦を要求した少なくとも1人がトランプ大統領の元弁護士に数万ドルを支払った可能性があるという。

インサイダー取引で有罪判決を受けたウィリアム・T・ウォルターズ氏は、ホワイトハウスへのアクセス権を自慢していたトランプ大統領の元弁護士、ジョン・ダウド氏に助けを求めたと伝えられている。

ウォルターズ氏はメディアから「恩赦を得るために現金を支払ったのか?」と質問されたが、黙秘した。そして、ダウド氏も赦された。

トランプ大統領は大切な同盟国や関係者を赦し、赦し、そして許した。ここ数カ月の間に赦された同盟国はトランプ大統領に感謝し、共和党への忠誠を誓っている。

<恩赦と減刑の実績>
・オバマ前大統領:恩赦212件、減刑1,715件

・トランプ大統領:約200件
トランプ大統領は個人的または政治的なつながりの深い者に恩赦を与える

マイケル・コーエンは赦されなかった

マイケル・コーエン氏は、ロシア疑惑で有罪判決を受けたトランプ大統領の元同盟国のひとりである。

コーエン氏はロバート・ミューラー特別検察官の調査に協力し、トランプ包囲網の構築に尽力した

パンデミックの影響で今年5月に釈放されたコーエン氏は以前、トランプ大統領の恩赦について、「アメリカの刑事司法制度が壊れていることが証明された」と語っている。

なお、コーエン氏は赦されなかったが、ロシア疑惑で連邦捜査局(FBI)に虚偽の供述をしたマイケル・フリン元中将は昨年11月末に赦されている。

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