◎ナンシー・ペロシ下院議長は弾劾の草案を示し、1月11日に下院投票を行う意向を示した。
◎下院が弾劾投票を決行したとしても、上院で可決されるかどうかは定かではない。
◎ジョー・バイデン氏は記者から弾劾の可能性について尋ねられ、「私はその考えを受け入れない」と述べた。
2021年1月7日 AP通信/ワシントンD.C.議会議事堂、民主党のナンシー・ペロシ下院議長

1月8日、下院民主党はワシントンD.C.議会議事堂の「暴動を扇動」したトランプ大統領を、もう一度弾劾する手続きについて話し合った。

ナンシー・ペロシ下院議長は弾劾の草案を示し、1月11日に下院投票を行う意向を示した。

草案は、「トランプ大統領は結果を予見できたにも関わらず、1月6日にホワイトハウスの外で行った集会の中で米国政府に対する暴力を故意に扇動し、議会議事堂での無法行為を奨励した」と述べている。

ペロシ下院議長は8日午後に党員集会とオンライン会議を開き、トランプ大統領辞任へのロードマップを話し合ったと伝えられている。

ABCニュースによると、ペロシ下院議長は会議の冒頭で、「大統領は反乱軍のリーダーになることを選んだ」と述べたという。

またペロシ下院議長は、8日早くにマーク・ミリー統合参謀本部議長と連絡を取り、「トランプ大統領に核発射コードへのアクセスを許してはいけない」と警告している。

ナンシー・ペロシ下院議長:
「今朝、私は統合参謀本部議長のマーク・ミリーと話し、不安定な大統領が軍事的敵対行為を開始したり、核発射コードにアクセスしたり、核攻撃を命じたりするのを防ぐための予防策について話し合った。私たちは不安定な大統領の不均衡な攻撃から市民と民主主義を守るために、できる限りのことをしなければならない」

「ペンス副大統領の返答(憲法修正第25条の発動有無)を待っている。大統領が喜んで辞任しない場合、議会は行動するだろう

2020年1月6日 ロイター通信/ワシントンD.C.トランプ大統領

ABCニュースによると、ペロシ下院議長は民主党員に対し、「憲法修正第25条を奨励する。それに向けた流れは勢いを増している」と述べたという。

またペロシ下院議長は、「弾劾のモデルはウォーターゲート事件(ニクソン大統領は弾劾前に辞任を決断した)」「共和党員がトランプ大統領に辞任するよう圧力をかけることを望んでいる」と、暴動後に反旗を翻した共和党員の協力を望んだと伝えられている。

8日午後、ジョー・バイデン氏は記者から弾劾の可能性について尋ねられ、「私はその考えを受け入れない」と述べた。

ジョー・バイデン氏:
「私は長い間、トランプ大統領は大統領職にふさわしくないと言い続けてきた。私は彼の仕事を引き継ぐ。そして、今私が対処すべきことはコロナウイルス、ワクチン、経済対策だと確信している

「議会は権限を持っている。しかし、手続きが始まった時、私とカマラはそれに時間を取られるだろう。私たちはコロナウイルス、ワクチン、経済に対処する準備を直ちに進めなければならない」

「私たちは仕事を進める。議会も仕事をどのように進めるか決める。私はコロナウイルスに関連する法案を速やかに承認する」

ペロシ下院議長の事務所は弾劾に向けたステップに関する声明をまだ発表していない。

2020年1月6日 AP通信/ワシントンD.C.議会議事堂周辺

一方、ホワイトハウスのジャッド・ディアー副報道官は、「トランプ大統領が昨日述べたように、今こそ一つの国として癒しと団結を示さなければならない。素晴らしい仕事をした大統領に対する弾劾は、偉大なアメリカをさらに分断するだろう」と述べた。

下院が弾劾投票を決行したとしても、上院で可決されるかどうかは定かではない。

ネブラスカ州のベン・サス上院議員(共和党)は、下院が示した弾劾決議を検討すると述べた。

弾劾決議案は、ジョージア州のブラッド・ラフェンスパーガー州務長官に対する脅迫についても言及している。トランプ大統領は州務長官に対し、「11,780票を見つける」よう圧力をかけ、「私は勝ちたいんです」と嘆願した。

<ジョージア州の選挙結果>
バイデン:2,473,633票
トランプ:2,461,854票(ー11,779票)
トランプ大統領が見つけてほしい票:11,780票

これまでに少なくとも1人の民主党員がトランプ大統領の弾劾に懸念を表明している。

穏健派のカート・シュレーダー下院議員は弾劾決議を「リンチ」と比較し、他の民主党員を怒らせ、その後謝罪した。

カート・シュレーダー下院議員:
「私の言葉は完全に不適切でした。同僚、関係者、友人に心からお詫びします。私はこれらの言葉の恐ろしい歴史的背景を認識し、引き起こされた暴動を理解していることを表明するために同僚に連絡を取りました。私は信頼を再構築するために一生懸命努力します、そしてもう一度、謙虚に謝罪します」

スポンサーリンク