SNSの普及で変わるフードフェス、新たな時代に
フードフェスはソーシャルメディアの影響で形を変えつつあるが、伝統的な大規模イベントと地域密着型の小規模イベントが共存する新たなフェスの時代が到来している。
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米フロリダ州マイアミビーチで開かれた「サウスビーチワイン&フードフェスティバル」が25回目の記念を迎え、従来型の大規模フードフェスのあり方がソーシャルメディアの普及によって変化しているとの指摘が出ている。かつては著名シェフと対面で交流できることがフードフェスの最大の魅力だったが、近年はオンラインで直接情報を得たり、シェフとSNS上でつながる若者も増えており、イベントそのものの位置づけが見直されつつあるようだ。
このフードフェスは10年前から食文化イベントとして全国的な人気を博し、フードネットワークなどのテレビ番組出演者と触れ合える機会として人気を集めてきた。アイオワ州出身の元飲食店オーナー、レスリー・ヴァネス(Leslie Vannes)さんは以前、毎年このフェスに足を運んでいたが、「SNSでシェフの活動を見たり、直接DMでやり取りできる今では、わざわざ大きなテントに集まって会う必要を感じなくなった」と語る。
ただし、ソーシャルメディアの影響で従来型の大規模イベントが影を潜めている一方で、新たなタイプのフードフェスも台頭している。例えば、オレゴン州やニューヨーク市で開催される「AAPIフード&ワイン」はアジア系アメリカ人・太平洋諸島系アメリカ人の料理文化に特化したイベントで、地域コミュニティとのつながりを重視している。このイベントの共同創設者ロイス・チョ(Royce Cho)さんは、「ワインと焼きそば、居酒屋料理やタイ料理が意外に相性が良いといった発見があるように、地域固有の食文化を紹介し、人々の交流を生む機会の方が今は重要だ」と述べている。
同様にアラバマ州バーミングハムの「サウスバウンド・フード・フェスティバル」も、料理だけでなく地域のアートや音楽などを組み合わせたイベントとして人気を集めている。共同創設者ナンシー・ホプキンス(Nancy Hopkins)さんは、「テレビで有名なシェフよりも今は地域の料理人や文化を祝福したいという人が増えている」と話す。
従来型の大規模イベントもなお根強い人気がある。サウスビーチとニューヨークのフェスはそれぞれ数万枚のチケットが完売し、開催期間中には500人以上のシェフや料理人が参加した。今年のチケット売上は約700万ドル、スポンサー収入は600万ドルに達した。同イベントは四半世紀の歴史の中で総額4500万ドル以上をフロリダ国際大学のホスピタリティスクールに寄付してきた。
主催者のリー・シュレイガー(Lee Schrager)さんは、「SNSで誰もが有名シェフにアクセスできるようになったとはいえ、実際にその空間にいること、料理の香りや食感を直接体験することには代え難い価値がある」と強調する。また、著名シェフのレイチェル・レイ(Rachael Ray)さんも「人々と実際に会って会話し、リアルな体験を共有できるのが魅力だ」と語り、SNS時代でも現場での体験が重要だという見方を示している。
このようにフードフェスはソーシャルメディアの影響で形を変えつつあるが、伝統的な大規模イベントと地域密着型の小規模イベントが共存する新たなフェスの時代が到来している。
