◎校内の児童は何度も911に電話をかけていた。
米テキサス州の警察当局は27日、ユバルディの小学校で発生した銃乱射事件について、現場への突入が遅れたのは間違いだったと認めた。
事件はメキシコ国境に近いユバルディ郡のロブ(Robb Elementary School)小学校で24日に発生した。容疑者は児童19人と教師2人を殺害。教室に突入した戦術部隊に射殺された。
同州公安局のマクロー(Steven McCraw)局長は突入が遅れたのは間違いだったと認めた。
マクロー氏は突入が遅れた理由について、「対応にあたった警官は容疑者が校内で銃を乱射しているとは思わなかったのだろう」と説明した。
しかし、校内の児童は何度も911に電話をかけていた。
事件を目撃したユバルディの市民は警察の対応について、「学校の用務員が鍵を持ってくるまでのんびり待機していた」「危険にさらされている児童はいないと判断した」「もう誰も生きていないと考え行動した」などと非難している。
銃規制に強く反対する保守派の本拠地テキサス州の対応遅れに対する不満は、学校近くで警官に「子供を助けてほしい」と懇願したことで逮捕され手錠をかけられた保護者の映像がSNSで拡散したことで爆発した。
同州のアボット(Greg Abbott)州知事は27日、「正確に情報が届かず、とても憤慨している」と当局の対応を批判した。「皆さんもご存じの通り、私に届いた情報は不正確でした...」
マクロー氏は事件の詳細なタイムラインを公表した。
▽11時30分頃:容疑者が学校近くに車を止める。校外から教室に100発以上弾丸を撃ち込む。
▽11時30~35分:校内にいなかった学区の警官が911を受け到着。容疑者発見できず。
▽11時35分頃:容疑者が校内に入り教室にたてこもる。
▽11時35~36分:警官が容疑者を追って校内に入る。
▽12時3分:生徒の1人が911に通報。氏名を名乗り、容疑者は112号室にいると説明。
▽12時10分:同じ生徒が再度911番通報。死者が出ていると説明。
▽12時13分:同じ生徒が3度目の911。
▽12時16分:同じ生徒が4度目の911。8~9人の生徒が生きていると説明。
▽12時19分:111号室にいるという別の人物が911番通報。
▽12時21分:最初の生徒が911。「3発銃声が聞こえた」と説明。
▽12時36分:最初の生徒が911。警察に電話を切らずに静かにするよう指示を受ける。生徒は「男がドアを撃った」と説明。
▽12時43分:生徒「今すぐ警察を呼んでください」と要請。
▽12時46分:生徒「隣から警察の声が聞こえる」と説明。
▽12時47分:生徒「今すぐ警察を呼んでください」と2度目の要請。
▽12時50分:校内で銃声。生徒は電話切らず。
▽12時51分:戦術部隊が教室に突入し容疑者を射殺。その時点で最初に911番通報した生徒は校外に避難していた。
マクロー氏によると、警官は容疑者が教室に入ってからまもなく校内に入ったが、廊下にとどまり、様子を伺ったという。
マクロー氏は「容疑者が立てこもった教室の外には警官19人が集まったが、突入しなかった」と説明した。
警察が教室を取り囲んだのは11時35~36分頃。戦術部隊が突入し容疑者を射殺したのは約75分後の12時51分だった。
現場の責任者は27日の会見に出席しなかった。
州警察の以前の説明は、学校内から何度も911番通報し、校内から銃声が聞こえると言った児童の説明・情報とは大きく食い違っていた。
この大惨事にもかかわらず、上院共和党は26日の採決で銃規制を強化する国内テロ法案を廃案に追い込んだ。