大人も「ソーシャルメディア依存」に注意、利用を減らす方法
これまでソーシャルメディア依存の懸念は主に子どもや青少年に向けられてきたが、大人もまた日常生活への影響を自覚するレベルまで利用が進み、作業や人間関係、趣味など本来の活動が犠牲になっている例がある。
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ソーシャルメディアは大人にとっても中毒性を持ちうるものであり、その影響を軽減するための対策が求められている。専門家らは、過度な利用が日常生活や精神面に悪影響を及ぼすケースが増えているとして注意を促している。
ソーシャルメディアの中毒性は、ギャンブルや合成麻薬、たばこへの依存と比較されることがある。人気アプリであるインスタグラム、ティックトック、X(旧ツイッター)などは利用者の注意を引き付け広告収入を得る仕組みのもとに設計されており、スクロールや短い動画の連続再生、リアクションや「いいね」に対する承認欲求がユーザーの行動を強化する要因となっている。こうした仕組みは「ドーパミンヒット」と表現され、利用者が頻繁にアクセスし続ける原因の一つとされている。
これまでソーシャルメディア依存の懸念は主に子どもや青少年に向けられてきたが、大人もまた日常生活への影響を自覚するレベルまで利用が進み、作業や人間関係、趣味など本来の活動が犠牲になっている例がある。スタンフォード大学医学部は、依存とは「有害であるにもかかわらず行動を続ける状態」と定義し、ソーシャルメディアの特徴として「24時間いつでもアクセスでき、抵抗する摩擦がほとんどない点」を挙げている。
一方で、専門家の間ではソーシャルメディア中毒という用語が科学的に正式な病名として認められているかについて意見が分かれている。米国精神医学会が定める精神障害の診断・統計マニュアルには「ソーシャルメディア依存」は正式な診断名として存在しない。しかし、使用が過度になって気分が落ち込む、日常生活に支障をきたす、やめようとしてもやめられないといった症状が見られる場合は“有害な使用”とみなせるとする見方がある。
専門家はまず、自身の利用が生活にどのような影響を与えているかを自覚することが重要だと指摘する。ベイラー医科大学の教授は、SNS利用が楽しみや必要な活動を妨げ、利用後に疲労感や不安感、怒りなどネガティブな感情をもたらす場合は“問題のある利用”だと判断すべきだとしている。
こうした背景を踏まえ、過度な利用を抑える具体的な方法としては、端末の通知をオフにする、SNSアプリをホーム画面から遠ざける、スクリーンタイム制限機能を設定するなどの「軽度の介入」が有効だとされる。アイフォンやアンドロイドには利用時間を制限する設定が標準搭載されており、特定カテゴリのアプリへのアクセス時間を制限できる。ただし、この制限は利用者が容易に解除できるため、あくまで“注意喚起”レベルに留まる。
それでも改善が見られない場合は、スマホをモノクロ表示にする、古い携帯電話に切り替えるといったより強力な対策や、物理的にスマホを手元に置かない工夫が役立つことがある。また、特定のハードウェアアクセサリーを使ってアプリへのアクセスに一手間加える製品も人気を集めている。
さらに深刻なケースでは、根底に不安、ストレス、孤独感、低い自尊心など心理的な問題が潜んでいる可能性もあり、この場合は心理療法や支援グループの活用が有効になるとしている。友人同士で利用時間を減らす取り組みを共有するなど、周囲の協力を得ることも一つの方法として勧められている。
SNS利用を完全に否定するのではなく、“適度な利用と意識的な制御”を心掛けることが健康的なデジタル生活につながるとの見解が示されている。
