◎FTXは先月28日、米裁判所に連邦破産法11条の適用を申請した。
バハマ警察当局は12日、暗号通貨(仮想通貨)交換業大手FTXトレーディングの創業者であるバンクマンフリード(Sam Bankman-Fried)容疑者を逮捕したと発表した。
バハマの司法長官によると、バンクマンフリードマン容疑者は13日に出廷する予定。米国とバハマの法律に反する「さまざまな金融犯罪」で逮捕したと説明している。
FTXは先月28日、米裁判所に連邦破産法11条の適用を申請した。負債総額は最大100億ドルに達すると見込まれ、顧客は資金を引き出せなくなった。
ニューヨーク南部地区(SDNY)の検事局はツイッターに、「バハマ当局はSDNYが提出した起訴状および連邦政府の要請に基づき、バンクマンフリードマンを逮捕した」と投稿しているが、罪状は明らかにしていない。
米証券取引委員会(SEC)もバンクマンフリードマン容疑者に対して訴訟を起こすとしている。
SECは12日の声明で、「法執行機関の取り組みを歓迎する」と述べた。
またSECは、「バンクマンフリードの証券取引法違反に関する告発を準備しており、明日、SDNYに提出する予定だ」と明らかにした。
容疑者とウォール街の元トレーダーらは2019年にFTXを設立。わずか3年で1日約100億ドルの暗号通貨を取引する巨大取引所となった。
容疑者は米国の投資家ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)氏の後継者と呼ばれるようになり、10月下旬時点の純資産は150億ドル以上と推定されていた。
また容疑者はホワイトハウスの主要献金者としても注目を集め、コロナ対策や暗号通貨の規制改善を支援していたとされる。
しかし、FTXは先月、暗号通貨取引所アラメダ・リサーチが買収計画から手を引くと発表した後、破産を申請。バンクマンフリード容疑者はCEOを辞任した。
裁判所に先月提出された書類によると、FTXは最大手の債権者50社に約31億ドルの債務を負っていたという。
容疑者は米ABCニュースなどのインタビューで過ちを認めたが、「顧客の資金を不適切に使用した」という告発は否定していた。
容疑者はニューヨーク・タイムズ紙主催の会議でも「詐欺を働いたつもりはない」と弁明していた。
右肩上がりで成長していた暗号通貨業界もロシアのウクライナ侵攻がもたらした混乱には勝てず、ビットコインは今年、60%以上下落。他の暗号通貨も苦戦を強いられている。