◎FTXは28日、裁判所に連邦破産法11条の適用を申請した。
暗号通貨(仮想通貨)交換業大手FTXトレーディングの創業者であるバンクマンフリード(Sam Bankman-Fried)氏は30日、米ABCニュースのインタビューで、「顧客の資金を不適切に使用した」という告発を否定した。
FTXは28日、裁判所に連邦破産法11条の適用を申請した。負債総額は最大100億ドルに達する可能性がある。
米国の投資家はこの事態を受け、バンクマンフリード氏やFTXの広告塔になった著名人らを相手取り、集団訴訟を起こしている。投資家らはFTXの倒産で110億ドルの損害を被ったと主張している。
バンクマンフリード氏はインタビューの中で、「私が多くの責任を負っていることを理解している」と語った。
FTXの倒産はそもそも信用に欠けていた暗号通貨にさらなる打撃を与えると予想されている。
バンクマンフリード氏は「多くの人を傷つけた」と述べ、顧客に謝罪した。
ABCによると、インタビューはFTXが本社を置くバハマの首都ナッソーで撮影されたという。
FTXは今月、暗号通貨取引所アラメダ・リサーチが買収計画から手を引くと発表した後、破産を申請した。
アラメダ・リサーチの元CEOであるエリソン氏(Caroline Ellison)氏は11月初旬の電話会議でFTXの問題点を指摘したとされる。
バンクマンフリード氏はエリソン氏から指摘された問題点には言及しない一方、FTXが崖っぷちに立たされていることを認めた。その後、FTXは致命的な資金難に陥っていることが明らかとなり、崩壊した。
しかし、バンクマンフリード氏は顧客の資金を不適切に使用したという告発を否定した。「私はリスクを管理する人、ポジション(自身の仮想通貨に対し、SNSなどを用いてPRして値が上がるように操作すること)を管理する人、アカウントを管理する人をうまく配置できませんでした。適切な監視監督を行えなかったのです...」
またバンクマンフリード氏はFTXの従業員が違法薬物を使用していたという告発も否定。同氏が複数の女性と婚姻を結んでいたというメディアの報道はデタラメで、エリソン氏との恋愛関係は半年で破綻したと述べた。
バンクマンフリード氏はパナマの本社で複数のカップルと一緒に生活していたと明らかにしたが、「多夫多妻制などあり得ず、FTXが異常な性関係を推進していたという告発は誤り」と非難した。
バンクマンフリード氏は現在、キャッシュカードを1枚所有し、手元には10万ドルしか残っていないという。
米経済誌フォーブスによると、バンクマンフリード氏の純資産は2021年時点で200億ドルと推定されていた。FTXの破産の原因はリスクマネージメントの「致命的な」欠如と考えられている。
バンクマンフリード氏は「努力が足りなかった」と語った。「失敗したのは私の努力が足りなかったからです。リスク管理に時間と労力をかけていれば、もし私が1日1時間でもFTXのリスク管理について考えていたら、こんなことにはならなかったと思います」
またバンクマンフリード氏は法的措置を含む複数の問題について、「自分に何ができるか考え、努力することに重点を置いている」と語った。「過ちは正したぞ。埋め合わせはしたぞ、と言えるようになるために、努力するつもりです...」
バンクマンフリード氏は暗号通貨の未来について、「どうなるかは分からないし、私が決めることでもない」と指摘。自身の将来については「世界が決める」と述べた。