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世界の原油・ガソリン価格急騰、米イラン紛争緊迫化

世界の石油輸送の要衝であるホルムズ海峡周辺の安全が確保されていないことが、供給不安を強めている。
2026年3月3日/米カリフォルニア州ビバリーヒルズのガソリンスタンド(AP通信)

中東情勢の緊迫化を背景に、世界の原油やガソリン価格が急騰している。米国とイスラエルによるイランへの大規模攻撃から1週間が経過したが、戦闘は収束の兆しを見せておらず、エネルギー市場では供給不安が急速に広がっている。

ニューヨーク市場では原油価格が急上昇し、米国産原油は1バレル=90ドル台、国際指標のブレント原油も90ドル近くまで上昇した。戦闘激化に伴い、中東各地でミサイルやドローン攻撃が相次ぎ、石油関連施設や輸送インフラが脅威にさらされていることが背景にある。

とりわけ世界の石油輸送の要衝であるホルムズ海峡周辺の安全が確保されていないことが、供給不安を強めている。この海峡は世界の石油供給の2割が通過する重要な海上ルートだが、現在は攻撃を受ける危険性が高まり、ペルシャ湾内で多数のタンカーが足止めされている状況だ。

その結果、世界市場では日量約900万バレル規模の供給が実質的に市場から消えたとみられ、ガソリンやディーゼル、航空燃料の価格も各国で上昇している。米国ではガソリン価格の急騰が家計や企業の負担を押し上げ、インフレ再燃への懸念も強まっている。

市場関係者は戦闘の長期化がエネルギー市場と世界経済に深刻な影響を及ぼす可能性があると警告する。仮にホルムズ海峡の航行が長期間妨げられれば、原油価格がさらに上昇し、世界的な物価高を招く恐れがあると指摘されている。

一方、米政府は価格上昇が長期化するとの見方を否定している。米エネルギー長官は、現在の価格高騰は市場の不安心理による側面が大きく、数週間以内に落ち着く可能性があるとの見通しを示した。さらに、タンカー輸送を守るための米海軍護衛や代替供給の確保などを進めることで、エネルギー市場の安定化を図る方針だ。

しかし、専門家の間では楽観論に懐疑的な見方も少なくない。中東の産油国の多くが紛争の影響を受け、石油生産や輸送の混乱が長引けば供給不足がさらに深刻化する可能性があるためだ。

中東戦争の拡大はエネルギー市場だけでなく、世界経済全体にも波紋を広げている。原油価格の上昇は輸送費や製造コストの増加につながり、各国の物価上昇を加速させる恐れがある。市場は依然として神経質な状態が続いており、戦況の行方がエネルギー価格と世界経済の先行きを大きく左右する状況となっている。

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