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米海軍が麻薬密輸船を攻撃、1人殺害=SOUTHCOM

米側はこの船舶が「テロ組織」により運航されていたと主張し、乗組員1人が死亡、米側の被害はなかったとしている。
米海軍の駆逐艦(Getty Images)

米海軍が東太平洋の国際水域で麻薬密輸に関与したとされる船舶を攻撃し、 1人を殺害した。米国南方軍(SOUTHCOM)が23日、明らかにした。

攻撃はヘグセス(Pete Hegseth)国防長官の指示により、統合任務部隊「サザン・スピア(Southern Spear)」が実行したとしている。

SOUTHCOMは声明で、対象となった船舶を麻薬密輸船と呼び、麻薬密輸ルート上を航行していたとの情報があったと説明した。

米側はこの船舶が「テロ組織」により運航されていたと主張し、乗組員1人が死亡、米側の被害はなかったとしている。

この攻撃は今年9月初めに始まった一連の米軍による麻薬密輸船攻撃の最新のものである。米軍は東太平洋とカリブ海で複数の船を標的にしており、これまでに少なくとも29件の攻撃で100人以上が死亡したとされる。

米側はこれらの攻撃を麻薬の流入を阻止するための措置と説明しているが、具体的な証拠は示していない。

当局が公開した映像には攻撃対象となった舶が爆発する様子が映っている。SOUTHCOMは声明で、攻撃対象の船舶が既知の麻薬密輸ルート上を航行し、密輸作業に従事していた情報が確認されたと主張したものの、第三者による独立した検証や具体的な証拠は示していない。

これらの一連の攻撃はトランプ政権が対麻薬戦略の一環として進めているものであるが、 国内外で批判も強まっている 。批判者は正当な根拠なく国際水域で致死的な攻撃を行っていると指摘し、越権行為や「私的な戦争状態」のようなものだと非難している。また、「テロ組織」や「麻薬密輸との関与」についての明確な証拠が公表されていないことも問題視されている。これに対し、政府は麻薬流入阻止と地域の安全保障強化を訴えており、今後も同様の作戦が継続する可能性がある。

さらに、この海上作戦は米国とベネズエラとの関係悪化とも関連している。米政府はベネズエラ政府を「外国テロ組織」とみなし、同国の麻薬カルテルとの結びつきを非難しているが、ベネズエラ側はこれを強く否定している。米国内では攻撃行為が議会の承認なしに行われていることへの懸念や、民間人被害の可能性を巡る議論が続いている。

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