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不法滞在者がICE捜査官と衝突、発砲事案に 米ミネソタ州

事件はセントポール市内の複合施設付近で起きた。ICE捜査官が違法滞在者とみられるキューバ出身の男を確認し、男がSUVに乗車した際に身柄拘束を試みたという。
2025年2月5日/米コロラド州デンバー、不法滞在者を連行する移民局(ICE)の捜査官(ロイター通信)

ミネソタ州セントポールで21日、税関移民取締局(ICE)の捜査官が移民とみられる男に対し発砲する事案が発生した。国土安全保障省は同日、ICE捜査官1人が男が運転するSUVに衝突された後、拳銃を発砲したと明らかにした。

事件はセントポール市内の複合施設付近で起きた。ICE捜査官が違法滞在者とみられるキューバ出身の男を確認し、男がSUVに乗車した際に身柄拘束を試みたという。捜査官たちは身分を名乗り窓を開けるよう求めたが、男は拒否し車を発進させたという。捜査官たちが車を追跡すると、男は1人目の捜査官をSUVではねたとされる。

続いてアパートの駐車場で別の捜査官が再度停止を命じたものの、SUVはICE車両に衝突、2人目の捜査官に接触した。この衝突を受け、捜査官が拳銃を発砲したが、弾は男に当たらなかった。

その後、男はさらに別のICE車両にSUVを衝突させた後、徒歩で逃走し、建物内に立てこもろうとした。捜査官らが男を取り押さえ、現行犯逮捕した。男は抵抗する際に捜査官を噛んだとされる。男および捜査官たちは現場近くの病院に搬送され、いずれも命に別条のないケガと診断されたが、精密検査のために入院した。

当局によると、逮捕された男は2024年に米国に入国したという。入国時には当時のバイデン政権が運用していた、正式な入国手続きを経ずに亡命申請の審査を受けるためのプログラムを通じて入国したというが、このプログラムは既に廃止されている。

事件発生後、セントポール市警察は「午前中に発砲の通報を受けて現場に駆け付けたところ、ICE捜査官が発砲したとの情報があった」と述べた。また、銃撃が他者に向けられたものではないことを確認したと報告した。

この発砲事件はミネアポリス・セントポール都市圏での移民取り締まり強化を巡る緊張が高まる中で起きた。この地域では連日のように移民政策に反対するデモや、ICE捜査官と住民・活動家との衝突が報告されている。先週には近隣のミネアポリスで移民取り締まりに抗議する市民とICE捜査官が衝突する場面もあり、地元警察幹部や市民団体から捜査手法に対する批判が出ていた。

国土安全保障省は声明で「すべての武器使用事案はICEの方針と手順に従って適切に報告・精査される」と述べ、状況の詳細な調査を進める意向を示した。捜査当局は引き続き現場周辺の防犯カメラ映像や捜査官の証言を基に、事件の経緯を明らかにする方針だ。

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