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米国2025年12月の雇用増加ペース鈍化、失業率は改善

労働省労働統計局(BLS)の報告によると、12月の非農業部門雇用者数は5万人増にとどまり、前月の6万4000人増から減少した。
米ニューヨーク市マンハッタンの通り(Getty Images)

米国の2025年12月の雇用統計は、雇用増加数が予想を下回り、連邦準備制度理事会(FRB)が労働市場の改善を促すために実施した利下げの効果が限定的であることを示した。労働省労働統計局(BLS)の報告によると、12月の非農業部門雇用者数は5万人増にとどまり、前月の6万4000人増から減少した。この伸びはエコノミストの予想を下回る結果となった。失業率は11月の4.6%から4.4%に低下、歴史的に見れば低水準であるものの、雇用の勢いは鈍化している。

雇用増加数のうち最大の寄与分は医療・福祉分野が占め、同分野で約2万1000人の雇用が増加したほか、飲食サービスや社会福祉関連の雇用も伸びた。しかし、小売業や製造業などのセクターは引き続き弱含みとなり、雇用増加への寄与は限定的であった。こうした雇用の伸び悩みは、昨年を通じて見られたトレンドの延長であり、2025年全体では月平均の雇用増加数が約4万9000人にとどまった。これは2024年の月平均約16万8000人から大幅な減速である。

今回の結果は、FRBが景気刺激と雇用改善を目的として昨年秋以降に3回連続で政策金利を引き下げた努力にもかかわらず、雇用の伸びが依然として弱いままであることを示すものとして受け止められる。利下げにより企業の借入コストは低下し、投資や採用を促す効果が期待されたが、実際の雇用データには明確な改善の兆しが見られない。

一方で、景気全体の動向には明るい兆候も存在する。商務省が9日に発表した速報値では、第三四半期(7~9月)の実質GDPは年率換算4.3%増と力強い伸びを記録し、個人消費の堅調さが経済成長を下支えしていることが示された。また、インフレ率は11月時点で伸びが鈍化し、物価上昇圧力の低下が確認された。インフレ率は依然としてFRBの目標である2%を上回るものの、2022年のピークからは大幅に低下している。

しかしながら、インフレの鈍化と経済成長の加速にもかかわらず、労働市場の鈍化は政策当局にとって難しい課題となっている。失業率が低水準にある一方で、新規雇用の増加が鈍いことは、企業が採用に慎重になっていることを示唆している。こうした状況は「雇用の停滞」として指摘され、FRBが今後の政策判断を行ううえで重要な要素となる。

市場では、FRBが当面は利下げを継続する可能性と、利下げのペースを見極める慎重な姿勢を維持する可能性の双方が議論されている。雇用データとインフレの動向が今後の金融政策に大きく影響を与えることは確実であり、特に雇用市場が持続的な回復軌道に戻るかどうかが注目されている。

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