米食品メーカー、減量薬ユーザーをターゲットに「GLP-1フレンドリー」表示導入
GLP-1を模した薬は腸での消化や空腹感を抑える働きを持ち、体重減少を促す効果があるとされる。
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米国で体重減少治療薬の利用が拡大する中、食品メーカーがこうした薬を使う人々を意識した「GLP-1フレンドリー」と表示した食品を市場に投入し始めている。こうした表示はスーパーの棚に並ぶ冷凍食品やスムージーなどで目立つようになっており、肥満治療薬として人気の高いウゴービ(Wegovy)やゼップバウンド(Zepbound)などGLP-1受容体作動薬の利用者を意識したマーケティング戦略の一環と見られている。
GLP-1を模した薬は腸での消化や空腹感を抑える働きを持ち、体重減少を促す効果があるとされる。薬の普及に伴い、利用者は従来よりも食事量が大幅に減る傾向にあり、その限られた摂取量で必要な栄養素を確保することが重要と専門家は指摘している。例えば、たんぱく質や食物繊維を十分に摂ること、脱水を防ぐための水分補給を心がけることが推奨されるが、こうした指導は薬自体が教えてくれるものではなく、医師や栄養専門家との相談が不可欠だと専門家は話している。
こうした背景を受けて、大手食品企業も新たな市場機会を模索している。ネスレは2024年秋に「バイタル・パースート(Vital Pursuit)」という冷凍食品ブランドを立ち上げ、顧客の要望を受けて「GLP-1フレンドリー」ラベルを追加した。同社によると、このシリーズは購入者の多くが薬を使用していない家庭からの支持もあり、幅広い消費者層に受け入れられているという。さらに、コナグラ・ブランズ(Conagra Brands)は2025年初めに「ヘルシーチョイス(Healthy Choice)」冷凍食の26品目に同ラベルを採用した。スムージーチェーンのスムージーキング(Smoothie King)は「GLP-1サポートメニュー」を設け、ミールキット企業も「GLP-1バランス」などの名称で商品を展開している。
こうした表示は米農務省(USDA)の食品安全検査局から、たんぱく質や食物繊維の含有量に関する説明文が添えられていることを条件に承認を受けているケースもあるが、「GLP-1フレンドリー」という用語自体に規制基準は存在しないと当局は強調している。つまりこのラベルは法的な栄養基準に基づいたものではなく、企業の自主的な表記である。
一部の栄養専門家は、こうしたマーケティング表示が消費者に誤解を与える可能性を懸念している。表示を見るだけで健康的だと誤解しがちな冷凍食品でも、塩分や飽和脂肪が多い場合があり、必ずしもGLP-1薬の効果を補完するとは限らないとの指摘がある。また、表示そのものが医療行為を軽視したり、ダイエット文化を助長したりする恐れもあるとして、原材料や栄養成分表示を確認し、専門家の助言を受けることの重要性を訴えている。
食品業界では今後もGLP-1薬利用者向けの商品開発が進むと見られているが、健康的な食生活や栄養バランスの確保といった基本的な点を忘れず、薬による体重管理と食事内容をどう両立させるかが消費者の課題となっている。専門家は単にラベルを目安にするのではなく、実際の栄養価を基準に選ぶことを勧めている。
