冬季五輪、多様性が大きな課題、米国は一部で前進の兆し
2022北京五輪では約2900人が出場したが、出場者の大半は白人であり、人種的多様性の乏しさが浮き彫りとなった。
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2026ミラノ・コルティナ冬季オリンピックを目前に控え、冬季スポーツ界における多様性の問題が改めて浮き彫りになっている。世界的に伝統的な冬季競技では白人選手が圧倒的多数を占める状況が続いており、選手の人種的・民族的多様性の向上が大きな課題となっている。こうしたなか、米国代表チームでは過去に例を見ないほど多様な陣容が見込まれ、一部で前進の兆しもみられる。
米ボブスレー・スケルトン連盟が発表した代表候補には8〜9人の女性選手が名を連ね、その多くが有色人種となる見込みだ。これにより、米国の冬季五輪代表は人種的にこれまでで最も多様な陣容となる可能性がある。2018年平昌大会では黒人やアジア系の選手は21人にとどまり、全体の約8%だったが、今回のチームではこの数字を上回る見込みだとしている。
こうした変化は、選手個々の功績や長年の取り組みによるものだ。スケルトンのミスティーク・ロ(Mystique Ro)選手(黒人と韓国系のハーフ)は14日、AP通信の取材に対し、「本当に進んでいる。列車はもう動き出している」と話し、歴史を刻んでいる実感を語った。また、5度の五輪メダルを誇るエラナ・マイヤーズ・テイラー(Elana Meyers Taylor)選手は冬季競技史上最も成功した黒人アスリートとして注目される。モノボブ世界選手権で優勝したケイシャ・ラブ(Kaysha Love)選手や、2022年に個人種目で冬季五輪金メダルを獲得したスピードスケートのエリン・ジャクソン(Erin Jackson)選手も代表入りを果たしている。女子アイスホッケーのライラ・エドワーズ(Laila Edwards)選手は米国代表として五輪の舞台に立つ初の黒人女性となる見込みで、「象徴となる存在でありたい」と語っている。
一方で、競技全体としての多様性は依然として限られている。全米スキー場協会の調査では、米国のスキーリゾート利用者のうち黒人は1%に過ぎないという。多くの冬季スポーツは高額で、設備や雪上トレーニング施設へのアクセスが困難なため、有色人種や低所得層の参入障壁が高いことが要因とされる。
2022北京五輪では約2900人が出場したが、出場者の大半は白人であり、人種的多様性の乏しさが浮き彫りとなった。非伝統的な冬季スポーツ国として、ガーナやナイジェリア、ハイチなどの選手が出場した例はあるものの、大多数の強豪国は依然として白人選手が中心である。ジャマイカのボブスレーチームのように象徴的な存在もあるが、競技全体の構造的な障壁は根強い。
選手側からは、多様性の向上にはオリンピックのような大舞台だけでなく、日常的な露出と支援が重要との声も上がっている。ロ選手は、「冬季五輪というスポットライトの時だけでなく、年間を通じて多様な選手が見られることが必要だ」と強調する。競技へのアクセス拡大や若年層への支援強化など、構造的な変革が今後の課題となっている。
こうした動きは、冬季スポーツ界全体での包摂性拡大に向けた試金石となる可能性がある。米国代表の一部での進展は評価されるものの、多様性を真に反映する競技環境の実現には、さらなる努力と長期的な取り組みが求められている。
