◎アメリカ最大のパイプラインであるコロニアル・パイプライン(全長約8,900km)は先月7日、ロシアのハッカー集団ダークサイドの攻撃を受け、操業停止に追い込まれた。
6月7日、米司法省はコロニアル・パイプラインを一時的に操業停止に追い込んだサイバー犯罪集団ダークサイド(DarkSide)に支払われた仮想通貨の一部を押収したと発表した。
リサ・モナコ司法副長官は記者団に対し、「コロニアル・パイプライン社がダークサイドに支払った身代金の大部分を発見し、取り戻しました」と述べた。「アメリカは重要なインフラストラクチャに対する攻撃を容認せず、関与した者を追跡し続けます...」
アメリカ最大のパイプラインであるコロニアル・パイプライン(全長約8,900km)は先月7日、ロシアのハッカー集団ダークサイドの攻撃を受け、操業停止に追い込まれた。同パイプラインは東海岸で消費される全燃料の約45%を供給している。システムは5月13日に復旧したが、市民と企業はガソリン価格の高騰に悩まされた。
モナコ司法副長官は、「サイバーテロリストは独自のランサムウェア、ツール、仮想通貨、その他のシステムを利用して政府機関や特定の企業への攻撃を繰り返し、身代金を要求しています」と述べた。
連邦捜査局(FBI)は先月の声明で実行者はダークサイドと断言したが、ジョー・バイデン大統領はその後、サイバー犯罪集団はロシアを拠点にしているが、ロシア政府の一部ではないと述べた。
コロニアル・パイプライン社は先月、ビットコイン暗号通貨で身代金を支払ったことを認めた。同社は声明の中で、「システムを迅速かつ安全に再起動するために、できる限りのことをする必要があった」と身代金の支払いを擁護した。「しかし、この決定は軽々しく下されたものではありませんでした...同社はお客さまに安心かつ安全な商品を送り届けるために、ランサムウェア対策を含む運営の強化に注力していきます...」
同社のCEOは先月公開されたインタビューの中で、攻撃を知ってからわずか数時間後にダークサイドへの身代金430万ドル(約4.7億円)の支払いを承認したと述べた。
司法省によると、今回押収したビットコインの価値は約230万ドル(2.5億円)だったという。
カリフォルニア州北部地区連邦検事代理のステファニー・ハインズ氏はAP通信の取材に対し、「犯罪者から身代金を強奪しなければならない」と述べた。
FBIは、サイバー攻撃に対する身代金の支払いは新たなハッキングを助長する可能性があるとして、支払いには応じない姿勢を取っている。モナコ司法副長官は、「攻撃を受けた企業は焦って身代金を支払うのではなく、まずは法執行機関に速やかに通報してほしい」と呼びかけた。「万一身代金を支払ってしまった場合も、通報が早ければ今回のように一部を押収できる可能性は高くなります...」