SHARE:

米CDC、小児予防接種スケジュールを変更、懸念も

これまで年齢に応じてほぼすべての子どもに「一律に推奨」していた複数のワクチンについて、今後は推奨の仕方を3つのカテゴリーに分けるとしており、インフルエンザワクチンやコロナワクチン、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、肝炎、髄膜炎ワクチンなどが従来の「全例推奨」から外れる。
米疾病対策センター(CDC)のロゴ(Getty Images)

疾病対策センター(CDC)は5日、子どもの予防接種スケジュールの大幅な見直しを発表した。これまで年齢に応じてほぼすべての子どもに「一律に推奨」していた複数のワクチンについて、今後は推奨の仕方を3つのカテゴリーに分けるとしており、インフルエンザワクチンやコロナワクチン、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、肝炎、髄膜炎ワクチンなどが従来の「全例推奨」から外れる。CDCは今回の変更について、国際的なワクチン接種スケジュールと整合性を図るためと説明しているが、公衆衛生専門家の間では懸念が広がっている。

CDCは新しいスケジュールでワクチンを3つのカテゴリーに分類する。一つ目は「すべての子どもに推奨されるワクチン」で、はしか、ムンプス(おたふくかぜ、流行性耳下腺炎)、風疹(MMR)やポリオ、百日咳、破傷風、ジフテリア、ヒブ(Hib)、肺炎球菌、ヒトパピローマウイルス(HPV)、水痘などが含まれる。これらは引き続き全年齢の子どもに推奨される。二つ目は「特定の高リスク群に推奨されるワクチン」であり、RSVや肝炎A・B、髄膜炎などのワクチンがここに入る。三つ目は「共有臨床判断(shared clinical decision-making)」に基づくワクチンで、医療者と家族が個々のリスクや利益を話し合ったうえで接種を決めるべきとされるカテゴリーだ。インフルエンザ、コロナ、ロタウイルスなどがこれに該当する。

「共有臨床判断」という用語は、CDCが示す新しい指針において、単純に年齢だけではなく、子どもの健康リスクや状況に応じて医師と保護者が相談して判断すべきであるという意味を持つ。従来のように一定の年齢で全員に接種を義務付けるのではなく、ケースバイケースの判断を促すものだとしている。

このスケジュール見直しは、トランプ(Donald Trump)が2025年12月に保健福祉長官に対して予防接種スケジュールの国際比較を指示した大統領令に基づくものとして実施された。保健福祉省(HHS)とCDCは、欧米諸国の接種スケジュールを検討した結果、米国の制度が「過度に包括的」であり、透明性やインフォームドコンセント(十分な説明に基づく同意)の観点から再検討が必要であると判断したとしている。

CDCは今回の変更が健康保険の接種カバーに影響を与えるものではないと強調している。オバマケア(Affordable Care Act、ACA)やメディケイド、児童保険プログラムなどに基づく全ての推奨ワクチンは引き続き保険適用されるため、家族が費用負担を強いられることはないとしている。

しかし専門家からは批判の声も上がっている。米国内の公衆衛生専門家や医師団体は、推奨ワクチンを削減することによりワクチン接種率が低下し、予防可能な感染症の再拡大につながる可能性を指摘している。また、米国と他国では人口構造や医療制度が異なるため、単純に海外のモデルを導入することはリスクであるとする見方も存在する。批評家の一部は、今回の変更がCDCの標準的な科学的審査プロセスを十分に経ていないとして、透明性の欠如を問題視している。

CDCは今後、改訂された「子ども・青年予防接種スケジュール」を公表し、医療者や州保健機関と協力して新基準の説明と実施を進めるとしている。また、接種状況や感染症発生率、ワクチンの安全性について監視を継続するとしている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします