◎イランの首都テヘランでクルド人女性のアミニさんがヒジャブを適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴り殺された事件は全国規模のデモを引き起こし、一部地域では暴動に発展している。
2022年9月20日/イラン、首都テヘラン中心部、道徳警察の暴力に抗議するデモ(Getty Images/AFP通信)

米国のバイデン(Joe Biden)大統領は3日、イランのデモ参加者が弾圧を受けている問題に言及し、追加制裁を科すと示唆した。

イランの首都テヘランでクルド人女性のアミニ(Mahsa Amini)さんがヒジャブを適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴り殺された事件は全国規模のデモを引き起こし、一部地域では暴動に発展している。

バイデン氏は3日の声明で、イランのデモ参加者に対する取り締まりが激化していることに深刻な懸念を表明し、弾圧に関与した者に「追加費用を課す」と述べ、制裁を示唆した。

アミニさんは先月13日、テヘランを訪問中にヒジャブを適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴られ、パトカーに頭を叩きつけられ、車内で暴行を受け、昏睡状態に陥り、3日後に死亡した。

この事件はイランを支配する聖職者への怒りを引き起こし、世界各地で女性軽視とヒジャブ強制に反対するデモを呼び起こした。

人権団体や活動家によると、治安部隊の取り締まりで死亡したデモ参加者は100人近くに達したという。当局は死者の数を公表していない。

イランの最高指導者ハメネイ(Ali Khamenei)師は3日、反政府デモについて初めてコメントし、「米国とイスラエルが騒乱の原因であり、イランの進歩を止めようとしている」と非難した。

「この暴動と不安は米国と偽シオニスト政権(イスラエル)と、彼らから金をもらっている者たち、そして海外の裏切り者のイラン人たちが画策したものである、私は断言します」

イラン当局はアミニさんが拘束中に殴打されたという報道を否定している。しかし、SNSにはアミニさんが暴行を受ける映像が数えきれないほど共有されている。

テヘラン警察は先月、この事件を「不幸な事故」と呼び、アミニさんが暴行を受けたという西側の主張は間違っていると指摘した。

しかし、米国とその同盟国はアミニさんの死とその後の抗議デモに対する取り締まりでイランを非難している。

バイデン政権は先週、平和的なデモ参加者、市民社会グループ、反体制派、女性の権利活動家などを弾圧したとして、道徳警察と治安当局高官7人に制裁を科した。

カナダも3日、重大な人権侵害を確認したとして、治安当局高官に制裁を科した。首相府は声明の中で、「人権侵害には女性に対する組織的な迫害、特にイランのいわゆる道徳警察が行ったひどい行為が含まれ、その結果、アミニさんは死亡した」と述べている。

バイデン氏は2015年のイラン核合意を再開するための協議が難航していることに不満を感じている。

米国は2018年にイラン核合意から一方的に離脱。イランの外国資産を凍結し、イラン産原油、天然ガス、石油化学製品などに対する投資を禁止した。イランはこれに強く反発し核開発を加速させている。

バイデン氏は合意再開を公約に掲げているが、間接協議は難航しているように見える。

バイデン氏は先週末、イランの石油化学製品の輸出を「より厳しく」制限するために追加の金融制裁を科すと発表した。イランは中国を含む同盟国に原油や兵器を輸出し続けている。

2022年10月2日/フランス、パリの通り、イランの道徳警察に抗議するデモ(Aurelien Morissard/AP通信)
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