▽連邦議会は昨年、バイトダンスが中国政府に個人情報を提供しているとして、禁止法案を起草。「同社が1年以内に米国事業を売却しなければ、国内での利用を禁じる」としている。
米国内におけるティックトックの運命がトランプ次期政権に委ねられることになりそうだ。
最高裁判所は1月17日にティックトック禁止法を支持し、ティックトックを運営する「バイトダンス」の訴えを退ける可能性が高いとみられる。
連邦議会は昨年、バイトダンスが中国政府に個人情報を提供しているとして、禁止法案を起草。「同社が1年以内に米国事業を売却しなければ、国内での利用を禁じる」としている。
この法案は昨年4月に上下両院を通過。バイデン(Joe Biden)大統領の署名で成立した。
ティックトック側は憲法修正第1条を根拠にこの法律に異議を申し立て、禁止は米国民の2人に1人が利用する同アプリにおける表現の自由を制限すると主張してきた。ティックトックの米国ユーザーは1億7000万人と推定されている。
しかし、下級裁判所は中国政府がアプリを「悪用」してデータ収集などを行う可能性があるとして、法律を支持してきた。
修正第1条は1791年に採択され、表現の自由、報道の自由、平和的に集会する権利などを妨げる法律の施行を禁じている。
最高裁が法律を支持し、ティックトックが売却を見送った場合、禁止令はトランプ(Donald Trump)次期大統領の就任式前日である1月19日に発効することになる。
禁止法が施行されても、ダウンロード済みのティックトックは普通に利用可能で、個人が罰せられることはない。
この禁止法(Protecting Americans From Foreign Adversary Controlled Applications Act)はプラットフォームの機能に不可欠な企業とアプリ本体を取り締まるものだ。
ティックトックはアップルやグーグルが管理する主要なアプリストアから抹消される。新規ユーザーはアプリをダウンロードできなくなり、既存ユーザーはアプリをアップデートできなくなる。
アップデートできなければ、動画読み込みの遅延やパフォーマンスの不具合といった問題が発生し、アプリの品質は時間とともに低下していく。
AP通信によると、バイデン政権はこの禁止法の施行を次期政権に委ねるとみられる。
APは政府筋の話しとして、「ティックトックの売却交渉を後押しするため、その期限を1月19日から数カ月延長する可能性がある」と伝えている。
ティックトックが米国事業を売却するかどうかは分からないが、一部メディアはトランプ政権の閣僚候補であるマスク(Elon Musk)氏に打診があったと伝えている。
トランプ氏はかつてこのアプリを禁止するよう求めていたが、現在は米国内での利用を継続すると公言している。
ティックトックのCEOである周受資(Shou Zi Chew)氏は1月20日の大統領就任式に出席する予定である。
次期国家安全保障担当補佐官のウォルツ(Mike Waltz)下院議員は16日、フォックスニュースのインタビューで、「ティックトックを禁止する可能性のある連邦法は実行可能な取引がテーブルの上にある限り、延長可能だ」と語った。
民主党のシューマー(Chuck Schumer)上院院内総務も16日、バイデン氏とティックトック禁止期限の延長について協議したと明らかにした。
シューマー氏は声明で、「米国の買い手を見つけるためにはもっと時間が必要だ」と述べた。
民主党は15日、禁止法の期限を延長する法案を可決しようとしたが、共和党に阻止された。共和党は禁止法が昨年施行されたと指摘、ティックトック側には買い手を見つける十分な時間があったとしている。