◎ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は8日午後の声明で、「バイデン大統領はシェリー・ムーア・カピト上院議員に、共和党の提案はアメリカ国民のニーズを満たしていないと伝えました」と述べた。
2021年6月8日/ワシントンD.C.議会議事堂、共和党のシェリー・ムーア・カピト上院議員(アレックス・ブランドン/AP通信)

6月8日、ジョー・バイデン大統領はインフラストラクチャーの大規模改修法案に関する共和党上院議員との協議を終了したと発表した。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は8日午後の声明で、「バイデン大統領はシェリー・ムーア・カピト上院議員に、共和党の提案はアメリカ国民のニーズを満たしていないと伝えました」と述べた。

バイデン大統領はカピト上院議員の努力と誠実な交渉に感謝の意を示したが、予算を1兆ドル以上削減することには合意できなかった。

カピト上院議員はABCニュースのインタビューの中で、「私たちは素晴らしい法案をバイデン大統領に提出しました」と述べた。「民主党はゴールポストを私の方に向けましたが、ゴールは閉ざされました」

共和党は約3,300億ドルの新規支出を含む約9,280億ドル(1兆円)のインフラ法案をバイデン大統領に提案した。しかし、バイデン大統領は当初の約2.3兆ドル(250兆円)から1.7兆ドル(約190兆円)まで妥協する可能性を示したが、それ以上は受け入れられないとして、共和党との提案を却下した。

一方、バイデン大統領は法人税率を21%から28%に引き上げ、富裕層と大企業を打ち負かすと宣言したが、カピト上院議員はこの提案を却下している。

2021年6月8日/ワシントンD.C.議会議事堂、インフラ法案について話し合った超党派の作業グループ(イブリン・ホックスタイン/ロイター通信)

カピト上院議員はインタビューの中で、「今回の協議は終了したが、超党派による法案成立が実現不可能になったわけではない」と強調した。

しかし、民主党は野心的なインフラ法案を単独で通過させるための準備を進めている。ホワイトハウスによると、バイデン大統領はチャック・シューマ―上院院内総務とナンシー・ペロシ下院議長と7月の法案通過に向け、議事妨害の影響を受けない予算プロセスの開始について話し合ったという。

民主党は下院で過半数を占めており、上院でも1議席優位を保っている。そして予算法案は野党の議事妨害を無効化できる特別な予算プロセスを利用できるため、上院民主党は共和党の協力を得ることに失敗してもカマラ・ハリス副大統領の1票で法案を通過させることができると期待されている。

ただし、上院民主党の一部は法人税の引き上げに反対しており、1人でも造反者が出れば法案は却下される可能性がある。

一方、現地メディアによると、共和党のミット・ロムニー上院議員やスーザン・コリンズ上院議員を含む10人のグループが超党派による協議を行ったという。AP通信は、このグループはバイデン大統領から電話を受け、何かしらの協議を行ったと報じた。

その後、サキ報道官は声明で、「バイデン大統領は8日にジョー・マンチン上院議員(民主党)や上院共和党員らと協議した」と認めた。「バイデン大統領は民主党員と共和党員に作業の継続を依頼し、インフラの改修を実行する新たな超党派の提案を作るよう促しました」

ABCニュースによると、8日夜に少なくとも10人の穏健派グループが会合し、取引について話し合ったという。なお、マンチン上院議員は法人税の引き上げに反対している。

民主党は合意に向けた交渉を慎重に見守っているが、多くの議員は有権者に対する選挙公約を果たせない可能性があると懸念を表明している。

AP通信によると、8日午後の非公開ランチに出席した議員たちは、「共和党との交渉継続」と「予算プロセスの開始」で意見が分かれたという。

民主党のチャック・シューマ―上院院内総務は8日午後の記者会見で、「民主党は2つのアプローチを用意している」と述べた。シューマ―上院院内総務によると、超党派による交渉を継続しつつ、予算プロセスの準備も同時に進めているという。

「法案の一部には超党派の案が採用されるでしょう。しかし、民主党は当初の野心的な法案を犠牲にするつもりはありません」

2021年5月27日/オハイオ州クリーブランドの大学キャンパス、ジョー・バイデン大統領(エヴァン・ヴッチ/AP通信)

アメリカン・ジョブズ・プランの要点:約2.3兆ドル(250兆円)

<高速道路とその他の道路の改修費用:1,150億ドル(約12.8兆円)>
ホワイトハウスによると、道路約32,000km、重要な橋、その他の約10,000の小さな橋を改修する予定だという。

<公共交通機関の改修:850億ドル(約9.4兆円)>

<貨物鉄道の改修:800億ドル(約8.9兆円)>
北東部の貨物路線の改修がメインになると伝えられている。

<電気自動車関連のインフラ整備:1,740億ドル(約19兆円)>
電気自動車用の充電ステーションを全国に50万カ所建設する。

<空港の改修:250億ドル(約2.8兆円)>

<河川と港の改修:170億ドル(約1.9兆円)>

<高速道路建設の影響を受けたコミュニティに対する補償:200億ドル(約2.2兆円)>

<自然災害対策強化:500億ドル(約5.5兆円)>

<鉛水道管の交換と下水道システムの改修:1,110億ドル(約12兆円)>

<5Gを含む高速ブロードバンドの構築:1,000億ドル(約11兆円)

<全国の電力網の整備とクリーンエネルギーへの移行:1,000億ドル(約11兆円)>

<低所得者向けの手頃な価格の住宅約200万棟の建設と改修:2,130億ドル(約24兆円)>

<学校の建設と改修:1,000億ドル(約11兆円)

退役軍人病院と診療所の整備:180億ドル(約2兆円)

<連邦政府の施設の改修:100億ドル(約1.1兆円)>

<介護サービスの拡充:4,000億ドル(約44兆円)>

<クリーンエネルギーなどの開発プロジェクトへの投資:1,800億ドル(約20兆円)>

<クリーンエネルギー関連の製造業への投資:3,000億ドル(約33兆円)>

<新たな労働力の開発:1,000億ドル(約11兆円)

法人税率を21%から28%に引き上げる

◎企業に21%のグローバル最低税を課し、節税対策を打ち負かす。

◎企業に15%の最低税を課す。

◎化石燃料業界に与えられた税制上の優遇措置を廃止する。

◎大企業に対するIRS監査を強化する。

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