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米国、オバマケアの補助金失効、新年を“医療保険なし”で迎える人も

オバマケアは2010年に成立した医療保険制度で、低所得者や自営業者などが加入する保険市場に対して連邦政府が保険料補助金を支給する仕組みを持つ。
米ドルと医療器具(Getty Images)

米国では2026年を迎えるにあたり、多くの国民が医療保険を失うか、保険料の急騰に直面する見込みである。これは国の主要な医療保険制度である「オバマケア(Affordable Care Act, ACA)」に付随する拡充補助金が2025年末で失効したためで、多くの加入者が負担増と保障喪失の危機にさらされている。現地メディアはこの状況を「医療保障のない状態で新年を迎える可能性」と表現し、不安が広がる実態を報じている。

オバマケアは2010年に成立した医療保険制度で、低所得者や自営業者などが加入する保険市場に対して連邦政府が保険料補助金を支給する仕組みを持つ。これは2021年の新型コロナ対策として拡充され、より多くの国民が安価に保険に加入できるようになっていたが、2025年末に期限切れとなり、再延長の法案が成立しなかったことから、制度は元の補助水準に戻された。

補助金失効の影響は甚大で、2000万人以上の加入者が保険料の大幅な値上がりに直面しているとみられる分析もある。例えば、補助金適用下では年間の保険料負担が抑えられていた層が、補助金なしでは保険料が倍増またはそれ以上に跳ね上がるケースも報告されており、保険を維持することが経済的に困難になる可能性が指摘されている。

この変化は、特に職場で保険を提供されない自営業者、フリーランス、農業従事者といった層に大きな打撃を与えている。多くの人々が補助金に頼っていた“ミッドマーケット”の保険プランの加入者は、補助金が消えた結果、2026年には保険の継続が難しくなり、無保険状態になるリスクを抱えている。また、一部の専門家は高齢層や中間所得層にとっても、保険料負担の増加が家計を圧迫すると警告している。

連邦議会では補助金延長の法案が提出されたものの、与野党の対立から成立に至らず、年末の議会休会に伴い措置が見送られたことが議論を呼んでいる。与党・共和党と民主党の間で医療保障制度の将来を巡る意見の隔たりは依然大きく、包括的な合意形成は困難な状況が続いている。これが2025年10月の長期に及ぶ政府機関一時閉鎖の一因となったとの指摘もある。

新年の医療保障喪失や保険料の急騰は、米国社会における医療制度の根本的な課題を改めて浮き彫りにしている。米国は先進国の中で国民皆保険制度を持たない数少ない国の一つであり、民間保険と公的保険が混在する複雑な制度となっている。多くの国民が高額な医療費負担に苦しんでいる現状は、社会的にも政治的にも今後の大きな争点となる可能性が高い。

こうした背景から、医療費負担や保険制度改革をめぐる議論が、新年の米国で一層激しくなる見込みである。国民生活への影響の大きさから、政治・政策の双方に対する関心が高まっている。

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