フランス当局が「X」事務所を家宅捜索、イギリスでも捜査進む
パリ検察庁のサイバー犯罪部門が主導した今回の捜索は、2025年1月に開始されたXプラットフォームに関する捜査の一環であり、同社がフランス国内法に違反した可能性があるとして行われたものである。
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フランス当局は3日、米実業家イーロン・マスク(Elon Musk)氏が所有するソーシャルメディア「X」のフランス事務所に対し、家宅捜索を実施したと発表した。パリ検察庁のサイバー犯罪部門が主導した今回の捜索は、2025年1月に開始されたXプラットフォームに関する捜査の一環であり、同社がフランス国内法に違反した可能性があるとして行われたものである。捜査には国家警察のサイバー犯罪ユニットに加え、欧州警察機関(ユーロポール)も協力している。
パリ検察庁によると、捜査対象には児童性的虐待画像の所持・配布、性的に露骨なディープフェイク画像の流布、組織的なデータ不正抽出、アルゴリズムの不正操作、そして人道に対する罪に関わる疑いなど多岐にわたる容疑が含まれているとされる。これらの疑惑はSNS上で自動生成された不適切コンテンツが拡散したことを契機に拡大したものだという。
検察庁はマスク氏とXの元CEOに対し、4月20日に「任意聴取」として出頭するよう召喚状を送付したことも明らかにした。元CEOは2025年7月に辞任しているが、当時の経営責任者として捜査対象となっている。また、X社の幹部ら数人も同時期に証人として出頭を求められたとされる。
捜査は当初、Xのアルゴリズムがコンテンツ配信システムを歪め、特定の情報を過度に推奨しているとの苦情を受けて始まった。その後、XのAIチャットボット「Grok」による不適切な投稿が焦点となり、調査対象が拡大した。GrokはEメール宛先や投稿内容のリクエストに応じて画像生成やコンテンツ推薦を行う機能を持つAIツールであり、性的ディープフェイクや関連する不正確な歴史的解釈が多数生成されたことが問題視されている。
イギリスでもXとそのAI部門「xAI」への調査が進んでいる。捜査当局はGrokが生成したコンテンツに人々の個人データがどのように用いられたか、適切な保護措置が講じられていたかについてデータ保護法(GDPR)に基づく正式な調査を開始している。またメディア規制当局もXがオンライン安全法に違反した可能性について別途審査を進めている。
こうした各国・地域の動きは、AI技術と大規模ソーシャルメディアの運用に関する規制や責任の在り方を巡る国際的な議論の高まりを反映している。Grokによる不適切コンテンツ生成が世界的に批判を受ける中で、規制当局はプラットフォーム側の安全対策や法令遵守の程度について厳しい目を向けている。
Xは今回の捜査について公式なコメントを発表していないが、これまでにもEUのデジタル規制違反により巨額の制裁金を科されるなど、欧州当局からの監視が強まっている。フランス検察庁は今回の捜査がXを国内の法律に準拠させることを目的としていると説明し、同社の対応が引き続き注目される。
