女性を隠し撮り、SNSに投稿する事例相次ぐ、被害も
こうした事件を受けて、女性支援団体や法律専門家からは「当人の同意なく撮影された映像を公開し、それが拡散することで個人が侵害される状況は容認できない。法整備やプラットフォームの対応強化が急務だ」との声が上がっている。

イギリスや米国などで一部の男性が女性を密かに撮影し、その映像をソーシャルメディアに投稿した後、被写体の女性がオンライン上で嫌がらせを受ける事例が相次いでいることが明らかになった。英BBCが複数の当事者から話を聞き、問題の動画を調査したところ、撮影対象となった女性たちは自身の映像がインターネットで拡散した後、取り返しのつかない被害を受けたと語っている。
ロンドンで働く21歳の女性は昼休みに店先で男性に声をかけられ、その際にスマートグラス型の眼鏡で自分が密かに撮影されていたことに気付かなかったという。男性はリフトに乗る間に会話し、女性に電話番号を尋ねたが、後でそのやりとりを録画した映像がTikTokに投稿され、130万回以上再生された。投稿された動画には女性の電話番号も写り込んでおり、その後、数週間にわたり大小さまざまな嫌がらせの電話やメッセージが届いたと語っている。
別の事例では、56歳の女性がビーチで男性に声をかけられた際、被写体だと知らずに会話している様子を同じくスマートグラスで撮影され、ソーシャルメディアに投稿された。この投稿は690万回以上再生され、10万回以上の「いいね」が付いたという。女性は投稿後、何千通ものメッセージを受け取り、その一部は性的な内容を含んでいたと述べている。
BBCが確認した限りでは、こうした動画は多数のインフルエンサーが投稿しており、いずれも「女性へのアプローチ方法」などの助言を掲げているものが多い。多くはメタ製のスマートグラスを使って撮影されているとみられるが、本来録画時に点灯すべきLEDランプが隠されたり無効化されたりしているケースも確認されているという。被写体の女性たちは、録画時の録画インジケーターを見た覚えはないとしており、プライバシー保護機能の実効性に疑問が投げかけられている。
現状、イギリスでは公共の場での撮影自体が明確に違法とされていないため、こうした行為に対する法的規制は限定的だと指摘されている。プライバシーの専門家は、公共の場にいるからといって撮影や投稿が正当化されるわけではなく、より強力な法的保護が必要だとしている。
ソーシャルメディア企業側は、コミュニティガイドラインに基づき嫌がらせやプライバシー侵害に関するコンテンツを削除する措置を取ったと語っているが、当初は動画が規約違反に当たらないとして削除されなかったケースもあった。また、プラットフォーム側は個人情報が含まれた投稿については、ストーキングや詐欺などの危険性があるとして専用窓口を設けていると説明している。
こうした事件を受けて、女性支援団体や法律専門家からは「当人の同意なく撮影された映像を公開し、それが拡散することで個人が侵害される状況は容認できない。法整備やプラットフォームの対応強化が急務だ」との声が上がっている。被害を受けた女性たちは、いずれも撮影されていることを知らずに日常生活を送っていたことから、映像が共有された瞬間にプライバシーと尊厳が侵害されたと感じている。
