ルーブル美術館が「二重価格」、知っておくべきこと
新料金はEU加盟国に加えアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーの居住者を対象から除外し、それ以外の国・地域の訪問者に適用される。
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フランス・パリのルーブル美術館は1月14日から入館料を大幅に引き上げる新料金体系を導入する。世界で最も来場者の多いこの美術館は、これまで22ユーロ(約4000円)だった一般入場料を、EUや欧州経済領域(EEA)域内居住者を除く多くの外国人観光客向けに32ユーロ(約5900円)に引き上げる。これは従来料金比で約45%の値上げとなる。
新料金はEU加盟国に加えアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーの居住者を対象から除外し、それ以外の国・地域の訪問者に適用される。団体のガイド付きチケットは1人当たり28ユーロと従来より抑えられる一方、18歳未満や特定の条件を満たす来館者は引き続き無料または割引の対象となる。
美術館側はこの値上げについて、老朽化した建物の維持・改修費用や増大する警備・運営コストに対応するためだと説明している。2025年10月には王室の宝飾品が盗まれる事件が発生し、国内外で文化財の保護対策の強化が求められていた。ルーブルはこのような一連の課題に対応するための収益確保策の一環として価格体系の見直しを進めてきた。
ルーブルは年間を通じて数百万人の来場者を迎え、人気作品である「モナ・リザ」や「ミロのヴィーナス」などを目当てに欧米やアジアなど各国から多くの観光客が訪れる。しかし、来場者数の増加に伴って混雑が深刻化し、特に人気展示室周辺では長蛇の列が日常化していた。また、美術館職員によるストライキが繰り返され、運営への不満が表面化していることも課題となっている。
今回の価格改定はフランス国内の他の大規模文化施設でも同様の「二重価格」政策が導入される流れの中で実施される。ベルサイユ宮殿やサント・シャペルなどでも、非EU域内からの訪問者向けに料金差を設ける動きが進んでいる。中央政府はこうした差別化料金により観光客からの収入を増やし、文化資産の保全と運営の安定化を図る方針だ。
新料金については賛否両論が出ている。美術館側の説明を支持する意見としては、世界的な観光地としての負担増に対応し、施設の将来を守るためには収益増が不可欠だという声がある。一方で、労働組合や一部の訪問者からは「文化アクセスの平等性を損ない、象徴的な国立美術館の普遍的な使命に反する」との批判が上がっている。特に非EU域内からの観光客が値上げの対象となることについては、文化的財産へのアクセスが経済力によって左右されるとの懸念が示されている。
ルーブルは新料金により年間最大で約2000万ユーの追加収入を見込み、これを「ルーブル・ヌーヴェル・ルネサンス(Louvre – New Renaissance)」と称する近代化・改修計画の財源に充てるとしている。今回の措置は2026年の観光シーズンに向けた収益モデルの転換点となる可能性がある。
